フロマージュとフロック

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フロマージュは、チーズのことですよね。フランスで、「フロマージュ」、イタリアで「フロマッジョ」なんだそうです。
チーズの種類は、多い。バターがまず例外なく牛乳から造られるのに対して、チーズはありとあらゆる乳から造られるからなんでしょうね。
たとえばイタリアに、「モッツアレーラ」があります。あのモッツアレーラは、水牛の乳が原料となるものです。サラダを作るにもぴったり。トマトとモッツアレーラを交互に並べたりもするではありませんか。
同じくイタリアに、「ペコリーノ・ロマーノ」がありますが、これは羊の乳から造られるチーズなのです。
フランスのチーズが出てくる伝記に、『ジョルジュ・サンド 愛の食卓』があります。
2018年に、アトランさやかが発表した物語。主に食を巡ってのサンドの伝記になっている珍しい本です。

「………熱々のクルミのオイルをかけたサラダ菜、山羊のフロマージュ………」

サンドはそんな田舎ふうの簡素な食事がお好みだったようです。
また、「フロマンテ」の話も出てきます。サンドの生まれ故郷ノアンでの郷土料理。
フロマンテは、小麦粉をゆっくりとミルクで煮たスープ状の一皿。主菜とフロマンテだけの食事ということもあったらしい。

『ジョルジュ・サンド 愛の食卓』には、こんな描写も出てきます。

「………ズボンとチョッキの上に体をすっぽり包み込むようなグレーのコートを着込み、帽子をかぶった。」

ノアンからパリに出たサンドが男装したのは、あまりに有名でしょう。。
「グレーのコート」もちろん当時のフロック・コートであったでしょう。
1820年代の貴婦人は、クリノリンの時代で、「男装」はクリノリンから解放されることでもあったのです。また、1820年代はまだまだ男尊女卑の時代。サンドは男装することで、女が入れない場所にも入って行かれたのであります。小説の取材には恰好の機会でもあったでしょう。
当時のフロック・コートは、紳士のパスポートだったのですから。
どなたか現代向きのフロックを仕立てて頂けませんでしょうか。

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