ビールは、ビアのことですよね。
beer と書いて「ビア」と訓みます。「ビア・ガーデン」というではありませんか。
「ビア・ホール」とも。
あるいはまた、『ビア樽ポルカ』の曲もありますね。
『ビア樽ポルカ』は1927年に、チェコの作曲家、ヤロミール・ヴェイヴォンダが作った音楽なんだとか。
当然といえば当然、ビールを飲む時に愛唱されたので、世界中で流行になったんだそうです。
古い英語に「ビア・マネー」の言葉あるとのこと。
1880年代の英国で、兵士に渡した一日一ペニーを指す言葉。「ビールを一杯おやりなさい」の意味で。ここから「酒手」(さかて)の意味が生まれたという。
「それは屋上のビアガーデンへ直通のエレベーターで(蓬田は一度もそこへ行ったことはなかったが)、客を呼び込むために若い男の従業員が四、五人、階段のあたりに屯していた。」
1965年に、庄野潤三が書いた短篇『秋風と二人の男』に、そのような一節が出てきます。
ビア・ガーデンで夜風に吹かれながらの一杯のビール。いいものですね。
ビア・ホールでの一杯もまた。
東京でのビア・ホールは、銀座がはやいらしい。
明治三十二年に、銀座四丁目の「恵比寿ビヤホール」が開店しているんだそうですね。
ビールが出てくる『日記』に、『サミュエル・ピープスの日記』があります。
「そしてお祈りをして就寝。そして熱燗のビールを大コップに一杯もってこさせた。」
1662年2月16日の『日記』に、ピープスはそのように書いています。
熱燗のビールねえ。
ロンドンのパブで常温のビールが出てくるのも当然なんでしょうね。
『サミュエル・ピープスの日記』には、こんな記述も出てきます。
「夕方サー・W・バッテンからビーバー帽をもらう。古いものだが、けっこう上等だ。これはなにかお返しをしなければならない。しかしそれがたいそう気に入っている。」
1662年4月19日の『日記』に、そのように書いてあります。
1662年はシルク・ハット登場のはるか以前で。紳士は多くつばの広い帽子をかぶったものです。その材質がビーヴァーであったのでしょう。
ビーヴァーの毛皮は光沢が美しい。そしてまた、雨に強い帽子。
ビーヴァーは水陸両用の動物ですからね。
つまり、もともとビーヴァー・ハットがあって。そこから、ビーヴァー・ハイハットが生まれることになるわけですね。十八世紀末のこと。
どなたか十七世紀のビーヴァー・ハットを復活させて頂けませんでしょうか。