ウインザー公は、紳士服飾の20世紀のスタイルやトレンドに大きな影響と功績を残した。それは21世紀の現代でも、燦然と輝き続けている。そんなウインザー公へのオマージュも込めて、選びぬいた情報や製品をセレクトしてお伝えします。
「a.testoni」ア・テストーニ
2015-16 Autumn Winter Collection
5月22日(金)、東京 銀座8丁目にある「ア・テストーニ」の店舗で、2015-16年秋冬の新作コレクションが発表された。
同ブランドはアメデオ テストーニ氏によって、イタリアの古都ボローニャで創業した名門の靴メーカー及びブランド。単なるデザインだけのブランド靴とは根本的に異なる、自社一貫生産のマニュファクチャー。その靴作りに宿る理念は「世界で最も美しい靴を作る」である。
今回、最も注目したのはブラウングリーンのコンビネーションのエプロンタイ フロント(Uチップ)のモデル。コンビネーションの靴と言えば、英国発祥のホワイトがベースカラーでスポーツ観戦用のスペクテイターシューズや、米国でも、かつて流行ったジャズエイジのブラックホワイトのウイングチップが知られている。しかし、同モデルは古き時代を懐かしむと言うよりは、今までに見た事のないようなクリエイティビティに満ちていた。
それはカラーの組み合わせや、切り替えし部の独自性、しかも、正確には2型のモデルがある事だ。写真を見て頂ければ理解できるが、一方が3アイレットのダービー(外羽根)で、もう一方が5アイレットのバルモラル(内羽根)と言うレースステイ(靴の紐穴部)。加えてバルモラルのモデルは、5アイレットの爪先側のアイレット部が1つだけ切り替えしの箇所に接している事。まさに靴作りに対する木型やデザインへの、深い考察力が感じられる秀逸なモデルだった。
上 写真のスリッポンは、フィオラノと言う木型を使ったドライビングシューズ。繊細なピンスタッズによる、サドルローファー モチーフのデザインアレンジが見事。また、靴の色調にもグレープ系のネイビーと渋いワイン系の色合いが素晴らしい。因みにフィオラノはフェラーリのテストコースが有る地名。何ともイタリアならではの木型のネーミングにも粋なセンスが…..
ジップアップのシンプルなレザーブルゾンは、上質な革素材を見極める事に優れた靴メーカーならではの製品。厚みのある、しなやかな風合いのレザーブルゾンには、同ブランドのバッグやシューズをコーディネートすれば、完璧なスタイリングが完成するだろう。さらにブルゾンの高品質な素材感は、袖口のディテール処理にも見ることが出来る。
プレーンでスタンダードな印象のサドル オックスフォードの靴。日本ではアイビーモデルのカッチリとした、紐穴が外ハト目のモデルが一般的だが、このモデルはよく見ると同じカラートーンのスエードとスムースのコンビネーションのドレスシューズ仕様のようだ。そして、爪先部にはメダリオンの穴飾りが施されている。サドル オックスフォードをアイビー的な解釈ではなく、大人がエレガントに着用出来るスタイルに仕上げているのが美しい限り…..
ア・テストーニの製品が、デザインや素材選びに優れているのは、今さら言うまでもない。しかし、特に靴製造に関してはコンストラクション(構造)が最も重要、実用歩行と堅牢さには靴のメカニズムの存在が。ア・テストーニを支える自信と実績は、こうした靴本来の作りの確かさがあるからに他ならない。多くの靴ブランドが存在する現在だが、同ブランドの靴は唯一無二の優れた靴メーカーでもある事に間違いはないだろう。
ア・テストーニ ジャパン
TEL 03-3575-8021