スイカは美味しいものですよね。赤くて、水分たっぷりで、健康にも良いらしい。
ただ、中には種を取るのが面倒で、という人もいたり。そんなことから、種なしスイカが生まれたんでしょう。
種なしスイカは昭和二十三年に、栽培に成功。その頃、京都帝国大学の木原均教授が、昭和十七年に研究をはじめて、ついに誕生したんだとか。
そうかと思えば、スイカの種がお好きな方も。スイカの種を丁寧に炒ると、ナッツのように。表の黒皮の中に、薄茶の種子が。團伊玖磨は作曲中にも、スイカの種を口に運ぶほどであったそうです。
ところでスイカはどんなふうにして、食べるのか。昔、千 利休がさるお方のお招きを受けた。行ってみると、西瓜が出た。西瓜にの上に砂糖がかかっている。利休は上手に、砂糖のかかっていないところだけを食べたという。後で弟子が利休に訊く。と、利休は答えた。
「西瓜は西瓜ならではの旨みを味わうものである。」と。
スイカが出てくる演劇に、『欲望という名の電車』が。テネシー・ウイリアムズが、1947年に発表した芝居。1951年に映画化されてもいますよね。
『欲望という名の電車』の第三場は、「ポーカーの夜」。スタンリーとその友人が四人でポーカーをする場面。そのト書きに。
「色あざやかな水瓜の薄切りと、ウイスキー瓶とグラスが置いてある。」
ここでのスイカはあらかじめ薄切りにしてあるんですね。食べやすいといえば、食べやすい。まあ、これも好みなんでしょう。ひとつの想像として、テネシー・ウイリアムズは、薄切りのスイカがお好きだったのかも。また、こんなト書きも。
「スタンリーが緑と真紅の絹のボーリング・シャツを着て……」
あのマーロン・ブランドのシャツ、シルクだったんですね。
なにかシルクのシャツを着て、スイカを食べに行きましようか。