サンドウイッチは、便利な食べ物ですよね。いつでも、どんな時でも、気軽に口にすることができる点で。
でも、いつも迷うのは。サンドウイッチなのか、サンドイッチなのか。一説によれば、英國の第四代サンドウイッチ伯爵の名前に因んでいるんだとか。もしそうだとするなら、「サンドウイッチ」なのか。しかしサンドウイッチ伯爵はほんとうはどんな風に呼ばれていたのか。なかなか難しい問題であります。
朝に、サンドウイッチを食べることもあるでしょう。昼にも、サンドウイッチ。夜にも、サンドウイッチ。こんな時は、「三度一致」となるのかも知れませんが。
食事代わりになるサンドウイッチに、「アメリカン・グラブハウス・サンド」があります。この場合、たしかにサンドウイッチなのですが、おしまいまで言わなくてもいいらしい。「アメリカン・クラブハウス・サンド」。十九世紀末、アメリカの「サラトガ・クラブハウス」で創られたので、その名前なったんだとか。
ふつうトーストした三枚のパンに挟む。中身は、ベーコン、レタス、トマト…………。これにターキーを加えて、「アメリカン・クラブハウス・サンド」の出来あがり。もっとも日本での「アメリカン・クラブハウス・サンド」は、ターキーに代えてチキンを使うことが多いようですが。
チキンであろうがターキーであろうが、ちゃんとした「アメリカン・クラブハウス・サンド」をちゃんと食べると、たしかに一回分の食事にもなりますよね。
アメリカン・クラブハウス・サンドらしきものが出てくる小説に、『カクテル・ウエイトレス』があります。ジェイムズ・M・ケインが書いた物語。ジェイムズ・M・ケインは、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』で知られる作家ですよね
「その三人は飲みものと一緒にクラブサンドウイッチを注文してくれた。」
この「クラブサンドウイッチ」はたぶん、「アメリカン・クラブハウス・サンド」のことかと思われます。『カクテル・ウエイトレス』には、こんな描写も。
「わたしはトムにサングラスをかけることを勧めた。でも、トムは即座に反論した。」
トムは、サングラスをかけたなら、誰も自分に気づいてくれないだろうと、反論しているわけですが。
サングラスはどんな時に、どんな風にかけるべきなのか。
少なくともアメリカン・クラブハウス・サンドを食べる時には、サングラスを外しましょう。たぶんそのほうがより美味しく感じられるはずですから。