シャンデリアとシルク・シャツ

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

シャンデリアは、美しく、豪華なものですよね。
シャンデリア chandelier は、フランス語の「シャンデリエ」 chandelier と関係があるんだとか。もちろん、「燭台」の意味。シャンデリアははるか遠く電気のない時代からあったものなのでしょう。
電気の前には蠟燭を立てたので、「シャンデリエ」なのかと思われます。蠟燭のさらに前は、オイル・ランプ。オイル・ランプ式のシャンデリアは、古代エトルリアの時代からあったという。
昭和四十七年頃、シャンデリアを買った人がいます。作家の、安西篤子。安西篤子の随筆、『シャンデリア』に出ている話なのですが。
その頃の、安西篤子は裕福な女友だちに誘われて、照明器具を買うのに、つきあう。秋葉原の、大きな専門店で。友だちがたくさん照明器具を買っている間、ふっとひとつのシャンデリアが目に入ってしまう。

「ルキノ・ヴィスコンティの映画に出てきそうな装飾沢山の古典的な形をしている」

安西篤子は、その目にとまったシャンデリアを、買う。どうして安西篤子はひとり暮らしには大仰なシャンデリアを買ったのか。

「子どものころしばらく住んだベルリンの家の客間に、よく似たシャンデリアがあった。」

その遠い記憶がシャンデリアを買わせたのだろうと、安西篤子は書いています。
シャンデリアが出てくるミステリに、『ダブル・ダブル』があります。1950年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。

「彼の大きな身体が、廊下のシャンデリアの夜間用の薄暗い光の下を横切り…………」

「彼」とは、ケネス・ウィンシップという人物。また、『ダブル・ダブル』には、こんな描写も。

「彼の着ている服、縞の絹のワイシャツ、手染めの絹のネクタイ、スエードの靴………………」。

「彼」は、弁護士の、オティス・ホルダーフィールドという設定。オティスは、シルク・シャツを着ているのでしょうね。羨ましい。
たしかに、シルク・シャツにシャンデリアは似合うでしょう。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone