ペニーは、お金の単位ですよね。アメリカの1セントや日本の一円にも近いものかも知れませんが。
もちろん、イギリスでの単位。1971年以前の英国では十二進法。今では十進法になっています。つまり100ペンスが1ポンドという計算になるわけです。いうまでもないことですが。「ペニー」は単数、「ペンス」は複数。
英國ではじめてペニーが鋳造されたのは、1797年のことだったとか。バーミンガムの、マシュウ・ボールトンが、銅製の硬貨として。ここから、「コパー」の名前でも呼ばれたんだそうですね。
これがアメリカに行きますと、「カパー」となって、「警察官」のこと。その昔、アメリカの警察官は、銅製のバッジを胸につけていたから。
イギリスでのペニーは、まあ日本の一円みたいなものですが。イギリスには、「プリティー・ペニー」の言い方があるんだとか。「小さな一円」とでも訳せるでしょうか。でも、これは実際には、「途方もない大金」の意味になるそうです。いかにも英国らしい表現ではありませんか。
ペニーが出てくる小説に、『哀れな商船員ジャック』があります。チャールズ・ディケンズが、1863年に発表した短篇。
「哀れな商船員ジャックがペニー・ウエイトずつ脳味噌を叩き出されているというのに。」
ここでの「ペニー・ウエイト」は、昔の単位。ペニーよりももっと下の単位だったという。また、『哀れな商船員ジャック』には、こんな描写も。
「彼が霜降りのジャケットを ー ジャケットをですよ ー 着てとび色のラシャのズボンをはき昼日中にこにこしながら………………。」
文中の「霜降り」と訳されている部分は、おそらく「ペッパー&ソルト」かと思われます。霜降りは、よくトゥイードなどにもありますよね。黒胡椒と塩とが混ざっているような柄なので、ペッパー&ソルト。ソルト&ペッパーとはあまり言いません。「ペッパー&ソルト」。
なにかペッパー&ソルトの上着を着て、ペニー・ローファーの靴でも履くとしましょうか。