ダニエルとタータン

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ダニエルは、男の子の名前ですよね。たとえば、ダニエル・ブーンだとか。
ダニエル・ブーンは西部開拓期の英雄。射撃の名手。思うように獲物を射ることができたそうですね。
音楽のほうでのダニエルは、ダニエル・バレンボイムでしょうか。

「私は一九四二年十一月十五日に生まれた。」

『ダニエル・バレンボイム自伝』には、そのように書いています。
ダニエル・バレンボイムは四歳の時、ヴァイオリンを習おうと思った。お父さんがヴァイオリンを弾いていたので。ヴァイオリンが弾ければ、いつもお父さんと一緒にいられるから。
そのうちにお父さんがピアノの連弾をしているのを、見た。連弾なら、お父さんと一緒に弾ける。それでピアノをはじめることになったんだとか。バレンボイムが、五つのときに。
ダニエルが九歳の時、ロシアの指揮者、イーゴル・マルケヴィッチと会って。ピアノを。それを聴いたマルケヴィッチは、言った。

「ご子息のピアノは素晴らしい。けれども息子さんは紛れもなく指揮者です。」

ここからダニエルの心が指揮者へと向かいはじまるのです。

「ピアノを弾くことと音楽とは、単なる私の人生の一部ではなく、その本質である。」

『ダニエル・バレンボイム自伝』は、隅から隅まで、名言に満ちたいます。

「ピアノに向う姿勢は、食卓に向う姿勢と同じである。」

とか。人生の深淵に近づこうとするなら、『ダニエル・バレンボイム自伝』を熟読するに限ります。
ダニエルが出てくる小説に、『トリルビー』があります。1822年に、フランスの作家、シャルル・ノディエが発表した物語。

「ダニエル、わたしのいとしいダニエル、千年なんて地上じゃなんでもないわ……………………。」

原題にある『トリルビー』は、スコットランドの妖精の男の子の名前。『トリルビー』には、こんな描写も。

「焼けこげた炉石のふちで火の色の小さなタータンチェックの腰布に煙の色の肩かけをはおって…………………。」

もちろん、トリルビーの様子。
ということは、1822年のときには、すでにスコットランドに「タータン」があること、フランスでも知られていたのでしょう。
なにかタータンの小物をつけて。ダニエル・バレンボイムのレコードを探しに行くとしましょうか。

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