嵐は、ストームのことですよね。小台風でもあるのでしょうか。昔の日活映画に『嵐を呼ぶ男』というのがあったような記憶があります。
そうかといえば、「嵐」という名前の映画俳優いましたね。嵐寛寿郎。あまりにも人気があったので、人呼んで「アラカン」。一言「アラカン」といえば、それは「嵐寛寿郎」のことだったのです。
当たり役は、鞍馬天狗。もちろん、時代劇。原作は、大佛次郎。昭和二年、『角兵衛獅子』として発表されています。
この中に登場する「鞍馬天狗」が好評で、後に鞍馬天狗が主人公の物語がたくさん作られたのですね。
「拙者の名は………鞍馬天狗、おわかりかな」
これが決め科白だったのです。そして、もうひとつ、黒覆面。黒い風呂敷で真似てみるんですが、なかなかうまくはいきませんでしたね。
アラカンかアランか。日本にアラカンがあれば、フランスには「アラン」の名前があります。アラン・ドロンだとか、アラン・ロブ=グリエだとか。枚挙に暇がありません。
その中でも忘れてならないのが、アラン・フルニエがいるでしょう。アラン・フルニエは、フランスの作家。1907年に戦場に出て、若くして世を去っています。第一次大戦のために。
アラン・フルニエのほとんど唯一と言って良い小説が、『グラン・モース』。これはアラン・フルニエの若き日の自伝とも読める小説になっています。この中に。
「十時ころ、スーレル先生が来たが、彼は黒いアルパカの上衣を脱いでいた。」
そんな文章が出てきます。時代背景は、十九世紀末のことでしょう。
当時のヨオロッパでの「アルパカ」は、主に夏背広地という印象があったようです。つまり季節は夏ということになるでしょう。
その時代の「アルパカ」はたいてい絹との交織。さらりと質感が特徴のものでした。
どなたか十九世紀末のアルパカを復刻して頂けませんか。