赤バイは、赤いバイクのことですよね。昔の日本には「赤バイ」というものがあったんだそうです。というよりも、今の白バイの前身は「赤バイ」だったという。
「白バイの前身である赤バイは、大正七年一月一日に六台を以ってスタートした。」
團伊玖磨著『パイプのけむり』に、そのように書いてあります。章題は『白バイ‹』で、團伊玖磨はこの中に白バイと赤バイとについて、詳しく述べているのです。
赤バイの車種は、アメリカ製の「インディアン」で、愛宕警察、上野警察などに配属されたという。
では、どうして大正七年に赤バイが導入されたのか。その時代の東京市内には、1311台の自動車が走っていた。でも自動車事故が少なくなかったので、赤バイに取り締まりを。
なぜ、自動車事故があったのか。ひとつには、当時の道路事情。まだ、舗装ではありませんでしたから。そして、もうひとつには、自動車そのものに対しての不慣れがあったのでしょう。
ここからは私の勝手な想像ですが。もともと「インディアン」の車体が赤だったので、そのまま「赤バイ」になったのではないでしょうか。
いずれにしても白バイ以前に、「赤バイ」があったのは、ほんとうのようですね。
團伊玖磨は『パイプのけむり』の中に、ヴェトナムについても書いています。
「……天平時代の裳を思わせる薄紫や青のアオザイを靡かせながら………」
「アオザイ」 ao dai は、ヴェトナムの民族衣裳。「アオ」は、「衣裳」。「ザイ」は、「長い」。つまり「長い衣裳」の意味なんだそうですね。
アオザイの下には、必ず「クワン」を合わせます。クワンは、白絹の細いパンツ。これを「クワン・アオ」と呼ぶわけです。
どなたか男性版のアオザイを仕立てて頂けませんでしょうか。