アンクルとアンツーク

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アンクルは、おじさんのことですよね。叔父とも伯父とも書きます。

………そのまどに 盲ひたる 爺ひとり 鈍き刃研げり

北原白秋の『邪宗門』に、そんな一節が出てきます。白秋は「爺」と書いて「オヂ」のルビを添えているのですが。

アメリカで、アンクルといえば、『アンクル・トムの小屋』でしょうか。1852年に、ハリエット・ビーチャー・ストウが発表した物語。当時、たちまち三十万部を売上たと伝えられています。
よく識られているように、黒人差別に反対の小説でありました。
リンカーン大統領は、作者のストウ夫人に会ったとき、こんなふうに言ったという。

「あなたがこの大戦争を引きおこした小さな女性なのですね。」

「この大戦争」が、南北戦争を指していることは言うまでもないでしょう。
ストウ夫人の書いた『アンクル・トムの小屋』が、人種差別の大きなきっかけになったからです。

「伯父」が出てくる小説に、『アメリカ』があります。1912年に、カフカが書いた創作。カフカは一度もアメリカに行ったことがないのに、想像で仕上げた物語になっています。

「それはもう何年も前からカールの伯父が欲しがっていたようなタイプで、いろいろな競売があるとき彼の手にとどく………」

これは主人公の「カール」がアメリカで見た立派な机について。

カフカが実際に行ったことがあるのは、イタリアのブレシア。1909年9月11日に、たしかにイタリアのブレシアに行っています。親友のマックス・ブロートと一緒に。
この日、ブレシアに近い、モンテキアーリ飛行場で、飛行ショウがあったので。
この時のカフカはモーニングでもフロックでもなく、スーツ姿でありました。その時の写真が遺っていますから。
1901年、カフカ十八歳の時の写真のも、スーツを着用しています。カフカはかなりはやくからスーツに親しんでいたようですね。
スーツ。ドイツ語なら、「アンツーク」 anzug でしょうか。
どなたか1910年代ふうのアンツークを仕立てて頂けませんでしょうか。

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