聖書にはいろんな良い話が詰まっているんでしょうね。ひと口に聖書といっても。たとえば旧約聖書と、新約聖書とがあるんだそうです。
そして旧約聖書の中に。『イザヤ書』、『エレミア書』、『エゼキエル書』があるという。『イザヤ書』は紀元前八世紀の預言者、イザヤの言葉を纏めた書物だと、考えられています。この『イザヤ書』の中に。
「この地に残った者は皆、凝乳と蜂蜜とを食べる。」
「凝乳」は今のチーズだと考えられています。少なくとも紀元前八世紀に、チーズがあったことが想像できるでしょう。細かい話ですが。チーズと、ハチミツなのか。それとも、チーズにハチミツをかけて食べる、との意味なんでしょうか。まあ、それはともかく。
イエス・キリストがチーズやヨーグルト、ハチミツを食べたのは、まず間違いないようですね。
そうそう、チーズにハチミツといえば。パルメジャーノ。パルメジャーノ・レッジャーノ。イタリア、パルマあたりで造られる堅いチーズですよね。
パルメジャーノを適当な大きさに砕いて、これにハチミツをかける。と、立派なドルチェにもなってくれるほどです。パルメジャーノが出てくるミステリに、『黄金の都』が。1992年に、レン・デイトンが発表した物語。
「イタリアのブランディを一ケースとパルメザン・チーズを一個まるごと、わたしに届けるように頼んだ。」
パルメジャーノを一個、丸ごと。大きいですよ。この物語の背景は、1942年の、カイロ。また、こんな描写も。
「暑い気候にはかならずしも向かないがイギリス人好みの革バンドの金時計を手首に巻き、靴紐をきちんと結んだ高級品の、ピカピカのツートンカラーの靴をはいていた。」
これは、スペクテイターズ・シューズのことでしょう。いわゆる、コンビの靴。まさかコンビの靴で、聖書を読むわけではありませんが……。