ソファーとソルト・&・ペッパー

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ソファーは、長椅子のことですよね。sofa と書いて「ソファー」と訓みます。二、三人なら、楽に掛けられる椅子のこと。
ソファーはまた、昼寝にも使われることがあります。ほんの五分のつもりが、ふと気づくと一時間ほどにもなっていたり。
ソファーで散歩するお方も。作家の、種村季弘。それというのも、『雨の日はソファで散歩』と題する随筆集がありますので。随筆集ですから、いろんな面白い話が出ているのですが。

「展覧会には出品していないが、昨年亡くなった長沢節さんはコーヒー店のクロンボやコヤマ珈琲店でお見かけしたし………」

そんな文章が出てきます。
なぜ、ここに「長沢節」が出てくるのか。章題が、『池袋モンパルナス』になっているからです。
昭和のはじめに「池袋モンパルナス」があった話を。西武線の「東長崎」駅近くに。その頃、「初見六蔵」という富豪がいて。この地にアトリエ村を拓いた。若い絵描きのために。
その昔、この池袋モンパルナスに住んだおひとりが、長沢節だったのですね。
熊谷守一も一時期ここにアトリエを構えていたらしい。とにかく最盛期には、千人を越す絵師が住んでいたという。
えーと、ソファーの話でしたね。ソファーが出てくる紀行文に、『アメリカ紀行』があります。1842年に、イギリスの文豪、チャーチルズ・ディケンズが発表した旅の記録です。

「………ソファーもロッカーもとてもてのこんだ造りになっていて………」

これはアメリカに渡るための船、「ブリタニア号」の船室の様子。
ディケンズは、1842年1月3日の朝。蒸気船「ブリタニア号」の特別室の船客となっています。その特別室はディケンズにとって至れり尽くせりの設えになっていたそうです。
また、『アメリカ紀行』には、こんな文章も出てきます。

「この船に、明るい、健康そうな顔をした、霜降り服を着た男が乗っていた。」

この「男」は、ディケンズと友達になりたい様子だったという。
「霜降り服」。たぶん「ソルト・&・ペッパー」のことなのでしょう。塩と胡椒を散らしたような柄なので、その名前があります。
どなたかソルト・&・ペッパーのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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