花子とジャケツ

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花子という名前は多いんでしょうね。
今すぐに思いつくものに、村岡花子があります。モンゴメリー原作の『赤毛のアン』の、翻訳家。
本名は、安中はなだったそうです。安中はなは幼少の頃から文学少女で、多く詩作に耽ったという。
「東和英和女学校」に入ったのが、はな十歳の時。その後、アンデルセン原作、森 鷗外翻訳の『即興詩人』を読んで、深く感動。ここから翻訳家になることを目指したんだそうです。
1939年に指導を受けていた宣教師の、ミス・ショオが帰国することに。この時、一冊の原書が与えられる。それが、『赤毛のアン』だったのです。村岡花子は戦争中に、翻訳。1952年に刊行されて、大好評。
森 鷗外の小説に、『花子』が。これはほんとうにあった話を鷗外が小説にしたものです。日本人の、「花子」がロダンに気に入られてモデルになったことがあるんだそうです。
『花子』と、ほぼ同じ時代の鷗外の作に、『沈黙の塔』があります。この中に。

「粗い格子の縞羅紗のジャケツとずぼんを着た男の………」

『沈黙の塔』も、『花子』も、明治四十三年の発表。ここでの「ジャケツ」は、今のジャケットのことです。が、これより後の時代になると、むしろ「ジャケツ」はニット・ウエアを指す言葉になってゆくのですが。

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