才女というお方が世の中にはいらっしゃるんでしょうね。
「才能ある女」と書いて、才女。才女に加えて美貌が備わっていると、才色兼備。天は二物を与えず、などというのですが、与えてしまった場合。いらっしゃるんですね、それが。
たとえば、マダム・マントノン。十七世紀、フランスの貴族。本名は、フラソワーズ・ドーピ二ェ。フラソワーズは複雑な家庭で育ったにもかかわらず、ルイ十四世の寵愛を受けています。ルイ十四世は政局の難しいことは、よくフラソワーズに相談することがあったらしい。聡明なフラソワーズはそれに対して、明確な回答を返してという。
やがてマントノンの領地を与えられたので、マダム・マントノンとも。このマダム・マントノンを題材に小説を書いたのが、フラソワーズ・シャンデルナゴール。こちらのフラソワーズもまた、才色兼備。とにかくエリート校中のエリート校、「国立行政学院」を、首席で卒業。1969年のことです。卒業とともに、国務院に入っています。国務院での仕事のかたわらに小説を書いて、それが話題になるのですからやはり才女そのものでしょう。
この才色兼備のフラソワーズが、熟年離婚を題材に書いた小説が、『最初の妻』。この中に。
「ズボンはみな膝上のところでずばり切断して、バーミューダ・パンツに変身させてやろう。」
これは離婚を考えている妻が、妄想たくましくしている場面。
まあ、膝がくたびれているトラウザーズは、バーミューダ・ショーツにする手もありますがね。