チャンドラーとチョーク・ストライプ

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チャンドラーは、もちろんレイモンド・チャンドラーですよね。レイモンド・チャンドラーの代表作は『大いなる眠り』で、1939年の発表。今からざっと八十年前の、しかもハードボイルド小説であります。
そのハードボイルドの、『大いなる眠り』を今読んで、少しも古さを感じさせないのです。たぶん、レイモンド・チャンドラー自身も予想してはいなかったことでしょう。
レイモンド・チャンドラーのミドル・ネームは、ソーントン。もしロバート・B・パーカー式に綴るなら、レイモンド・T・チャンドラーということになります。このソーントンThornton はお母さんの姓なんですね。
チャンドラーのミドル・ネーム、「ソーントン」から想い出しものに、「ソントンジャム」があります。私の子どもの頃、よく食べたジャムの名前。今のジャムのように壜に入っているのではなく、紙容器に入っていた記憶があります。もちろんイチゴジャムだけでなく、オレンジ・マーマレードもありましたが。いや、私がはじめて食べたオレンジ・マーマレードは、「ソントン」製だったかも知れません。
「ソントン」は戦後間もなくの創業で、今も健在。では、どうして「ソントン」の社名になったのか。これは石川郁二郎が、アメリカの宣教師、ソーントンがピーナッツ・バターを作っているのに、影響を受けたからなんだとか。
宣教師の、J・B・ソーントンとチャンドラー、もしすれば、親戚だったかも知れませんが。
チャンドラーが出てくるミステリに、『もう過去はいらない』があります。

「レイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメット、ロス・マクドナルド、そしてコナン・ドイル全集。」

これは、アブラムスキーという名のラビの本棚を眺めている場面。また、『もう過去はいらない』には、こんな描写も。

「サビルロー仕立ての、白いチョークストライプの入ったグレーのスーツ。」

これは、イライジャという人物の着こなし。『もう過去はいらない』は、ダニエル・フリードマンが、2014年に発表した物語。
チョーク・ストライプは、ややかすれた感じの縞柄。ちょうどウーステッドの上に、テイラーズ・チョークで線を引いた印象なので。
チョーク・ストライプのスーツを着て、チャンドラーの初版本を探しに行きたいものですね。

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