ウイスキーとウエイストコート

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ウイスキーは、美味しいものですよね。では、ウイスキーをどんな風にして飲むのか。たとえば、水割りにして飲む。オン・ザ・ロックにして、飲む。ハイボールにして飲む。まあ、そんなところでしょうね。
ウイスキーの本場は、スコットランドということになっています。では、スコットランドではウイスキーをどうやって飲むのか。生 ( き )で、飲む。つまり、スコットランド人はまず例外なく、ストレートで口に運ぶ。日本人が酒を生で飲むように、ストレートで飲む。
これはもう、身体の出来が違うのでしょう。ウイスキーはだいたい42度前後。酒はおおよそ15度前後。
ウイスキーを水やソーダで割ると、ざっと15度位になる。まことに飲み濃度であります。ということは、スコットランド人にとっての42度も、程よい加減なのでしょう。つまりスコットランド人と日本人とでは、アルコールの受け入れ体制そのものが異なっているのかも知れません。
沖縄に行きますと、抱瓶がありますよね。あれもまた携帯用の酒壜だったのでしょうね。西洋にも、「ポケット・フラスク」があります。同じく携帯用酒壜。多くは銀製。時に硝子製もありますが。
ポケット・フラスクには、たとえばウイスキーを入れておく。時と場合によってキャップを捻ると、酒が飲めるわけです。
十九世紀の紳士はポケット・フラスクを持ち歩くことが多かった。もちろん自分のためであり、貴婦人のためでもあって。
十九世紀貴婦人は、よく倒れた。倒れた時の気つけ薬に、ウイスキーなどが有効だったから。では、どうして十九世紀の貴婦人は、倒れたのか。コルセットの類いがきつ過ぎたから。血行不良。だからウイスキーなどは、特効薬だったのです。
ジョン・ディクスン・カー著『コナン・ドイル』にも、ウイスキーの話が出てきます。

「ウイスキーばかり飲んでいる陸軍軍医少佐M・ドルーリーという医官であることを知った。」

これは1899年の、ボーア戦争でのこと。コナン・ドイルは自らボーア戦争に赴く。もちろん、医者の立場で。その時に、出会うのがウイスキー好きの、アイルランド人、ドルーリーだったのです。
その後の1907年に、コナン・ドイルは再婚。長年つきあいのあった女性、じーん・レッキーと。9月18日のことであります。場所は、ウエストミンスターの「セント・マーガレット教会」で。この時のコナン・ドイルの、新郎の衣裳は。

「フロック・コートに白チョッキ、大きな白いクチナシの花をボタン穴にさして……………」。

これは当時の新聞記事の報道。
白いウエストコートは、正装用。たぶん、ホワイト・ピケでしょう。ホワイト・ピケのウエストコートは、今でも、もっと使われても良いのではないでしょうか。
たとえば、ウイスキー色のウエストコートだとか。

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