グランド・ピアノとクリース

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

グランド・ピアノは、大型のピアノですよね。グランド・ピアノではないものに、アップライト・ピアノがあります。
ふつうクラッシック音楽の演奏会などでは、グランド・ピアノが使われます。「響き」がたいへんよろしいから。「音におけるアフター」とでも言えば良いのでしょうか。ワイン通にクラッシック音楽のファンが多いのも、うなづけるような気もするのですが。
今のピアノはイタリアで生まれたのだろうと、考えられているようですね。1709年頃に。バルトロメオ・ディ・フランセスコ・クリストフォリによって。クリストフォリは、1655年に、イタリアのパドヴァに生まれています。チェンバロ製作者。ということは、いわばチェンバロの新種として、ピアノがはじまっているのでしょうね。
ピアノをはじめて演奏した作曲家は、ヘンデルかも知れません。ヘンデルは1708年に、フィレンツェを訪問。フィレンツェには三年滞在。つまり、クリストフォリの「ピアノ」に出会えているのですね。ヘンデルは自作の『ロドリーゴ』を、ピアノで弾いたと伝えられています。
ヘンデルがピアノを弾いたのであれば、もちろんモオツアルトも弾いています。いや、モオツアルトのピアノがすこぶる巧みだったという。

「ぼくが常に正確にタクトを守っていること、それについてはみんなが感心しています。………………」。

モオツアルトは、お父さんに宛てての手紙の中で、自分のピアノ技法が並外れていたことを書いています。
モオツアルトより二十四歳年長だった、ハイドンも聴き惚れたひとり。ハイドンはモオツアルトの演奏があれば、必ず顔を出した。

「モオツアルトのクラヴィーアの演奏は生涯忘れることができない、それは胸に響くものだった……………」。

グランド・ピアノが出てくる小説に、『熱情』があります。ジョゼフ・ペリゴーが、1988年頃に書いた小説。

「そう、それはプレイエルの商標のついたグランド・ピアノだった。」

このピアノは、ジェジェという詩人の持物。ジェジェは毎朝、ベートヴェンの『熱情』を弾くので、その題になっているわけです。また、『熱情』にはこんな描写も。

「ズボンの折り目を気にするような男は、完全に社会から脱落しているとは言えない。」

もちろん、ジェジェを指してのこと。ジェジェはいつもズボンを「寝押し」するのですから。
ここでの「折り目」は、クリースのこと。美しくクリースの入ったズボンで、グランド・ピアノの音色に耳傾けたいものですね

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone