アルレーとアウト・ポケット

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アルレーという地名があるんだそうですね。パリに。パリにはセエヌ河が流れていて。セエヌ河は中洲があって。サン・ルイ島と、シテ島。このシテ島に、アルレー通りがあるんだとか。通りの名前といったほうが正しいのかも知れませんが。
シテ島にも古い歴史があって。むかし、シテ島に住む人たちのことを、「シトワイアン」と言ったらしい。このシトワイアンから、今の「シティズン」が生まれたとの説があります。
アルレーはアルレーでも人の名前になりますと、カトリーヌ・アルレー。カトリーヌ・アルレーは、フランスのミステリ作家。とても、お美しいお方。それというのも1950年代に作家になる前は、女優だったのですから、お美しいのも当然でしょう。そのお綺麗なカトリーヌ・アルレーが、なぜか「悪女」を描いて妙なのですから、世の中面白いものであります。
もっともカトリーヌ・アルレーは筆名。本名は、ピエレット・ペルノオ。ということは、なにかシテ島のアルレー通りと縁があったのかと、推理してみたくもなるのですが。
カトリーヌ・アルレーが、1973年に発表した物語に、『犯罪は王侯の楽しみ』があります。この中に。

「彼女の目には絶え間なく、グレイのフラノのズボンとツイードの上衣のアウト・ポケットが浮かんだ。」

これはある男を想い浮かべている場面。
「アウト・ポケット」は、パッチ・ポケットのことですね。ほとんど一重仕立てなので、貼り付けにして、ポケットの内袋を見せない配慮なんですね。
アウト・ポケットの替上着を着て、アルレー通りをゆっくり歩いてみたいものですね。

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