プリーズは、よく使う言葉ですよね。pl e as e と書いて、「プリーズ」となること、いうまでもないでしょう。「どうぞ」、「すみませんが」、「おねがいいたします」。まあ、そんな意味でしょうか。
1963年のビートルズの曲に、『プリーズ、プリーズ、ミー』があります。ひとつの題にふたつのプリーズがあるくらいですから、イギリスではよく使われる言葉なのでしょう。
冗談はともかく、真面目な話、英国での頻度として「プリーズ」はかなり高いのではないでしょうか。
「パブでお酒やチップスを頼むときもおおむね「プリーズ」が二回、「サンキュー」が三回であった。」
ケイト・フォックスは、『イングリッシュネス』の中に、そのように書いています。ケイト・フォックスは、イギリス人の、社会人類学者。
ケイト・フォックスは、ある一定の階級以上のイギリス人は、何かにつけて、言葉の最後に「プリーズ」をつけると、結論しています。
たとえば、パブで支払いする時、店員は、「ファイヴ・ポンズ、プリーズ」という。
あるいはタクシーに乗った時。客は、「コヴェントガーデン、プリーズ」と口にする。そして、この「プリーズ」を添えるのか添えないのかで、印象は大違いとなるらしい。「プリーズ」懼るべきであります。
この『イングリッシュネス』によると、発音にも階級差があらわれるらしい。
「アンカチーフ」と、はじめのHの音が抜けたなら、やや下層階級。逆に、「ハンカチフ」と語尾が欠けると、上流階級の発音に。語尾が省略気味になるのは他にもあって。「サンウッイッジ」。身分の高い人は、サンドウィッチをこんなふうに発音するのだそうですね。
上流階級の子弟が通う学校のひとつに、ハロウ校があります。かのウインストン・チャーチルも通って学校。他のパブリック・スクールと同じく、制服が定められています。濃紺のブレイザー 。
ただし、ハロウ校に限っては、「ブルーア」 b l u er と呼ぶんだそうです。ハロウ弁でしょうか。
ブルーアは、シングルのスリー・ボタン、スリー・パッチ・ポケット型になります。
でも、ブルーアばかりはいくら「プリーズ」といっても無理でしょうが。