パテは、フランス料理のひとつですよね。
何かと何かを混ぜて、食べやすい形にまとめたもの。私にはなんかそんな印象があるのですが。
無理矢理日本で近いものを探すとすれば、はんぺんでしょうか。はんぺんは魚の擂り身が原料で、それを食べやすい形に仕上げている点において。
「パテ」 pâté と呼べる料理は星の数ほどもあるでしょう。が、中でも憧れの的は、パテ・ド・フォアグラではないでしょうか。
「食堂へ行く、オルドヴル。フアグラ ー のうまさ。伊勢蝦のチーズ焼、鳥のクリーム煮、次にパンケーキ・スゼットでおしまひ。フアグラ一ばんうまし。
古川ロッパ著『昭和日記』にはそのように出ています。
昭和十四年三月九日、木曜日のところに。
場所は、神戸。神戸港の「アラミス号」のレストランでの食事。
古川ロッパは、「フアグラ」と書いているのですが。とにかくなにより美味であったのでしょう。
明治二十年頃の宮中晩餐会でも、フォアグラが出されたようです。
客の異人の、紳士淑女は、フォアグラに感嘆。でも、居並ぶ日本の殿方は黙々と食べていることに驚いたらしい。まあ、知らないということは、そういうことなのでしょう。
パテ・ド・フォアグラの本場は、ストラスブールということになっています。なぜ、ストラスブールがフォアグラの名産地なのか。
時代は、1768年に遡ります。人物は、コンタード元帥。ルイ十五世の家臣。コンタード元帥は、アルザスの総督に任命。その時、
料理人の、クローズを伴って。
クローズは苦心惨憺して、コンタード元帥のお気に召す料理を。その一品が、パテ・ド・フォアグラだったのです。
ですから最初の名前は、「パテ・ド・コンタード」であったという。
パテが出てくるミステリに、『死神に愛された男』があります。
1982年に、カトリーヌ・アルレーが発表した物語。
「………それより田舎の叔母さんの手製のパテの方がいいなどという娘がどこのにいるだろうか。」
まあ、ひとつのものの喩えなのですが。
また、『死神に愛された男』には、こんな描写も出てきます。
「絹のポロシャツにカシミアのズボンをはき…………………」。
これは、ルノー・モラティエの着こなし。ルノー・モラティエは、婦人服会社の社長という設定になっています。
うーむ。カシミアのパンタロンですか。気持佳いでしょうね。
どなたかカシミアのパンタロンを仕立てて頂けませんでしょうか。