鳥打帽とドニゴール

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鳥打帽は、ハンチングのことですよね。正しくは、ハンテウィング・キャップのこと。
ハンティング・キャップとも、また「キャスケット」とも、呼ばれます。
キャスケットには、ワンピースもあれば、八剥ぎもありまして。つまりは「天井」部分をどんな構造にするのか、によって。
「一枚天井」であれば、フラットな鳥打帽になります。あるいはまた、「エイト・ピーシーズ」なら、丸いクラウンのハンチングになるわけですね。

「………小豆色の綾羅紗の外套を引被けて、焦茶の猟帽を目深に冠つた、町人躰の三十歳そこそこの男………」明治二十七年に、尾崎紅葉が発表した短篇『冷熱』に、そのような一節が出てきます。
尾崎紅葉は、「猟帽」と書いて、「ハンチング」のルビを添えているのですが。「ハンチング」のわりあい早い例かと思われます。

ハンチングが出てくるミステリに、『レストレード警部と三人のホームズ』があります。1987年に、M・J・トローが発表した物語。

「あのお方のお気に入りの海泡石のパイプに、鳥打帽やアルスター外套まで失くなってますね。」

ここでの「あのお方」が、シャーロック・ホームズを指しているのは、いうまでもないでしょう。
『レストレード警部と三人のホームズ』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「相手のドニゴール外套と山高帽がデュの胸につき当たりそうになった。」

ウォルター・デューは、ロンドン警視庁の巡査部長という設定になっています。
このドニゴール外套は、レストレード警部の服装。
ドニゴールは、アイルランドの地名。また、ここで織られるトゥイードのことでも。多くはブラック&ホワイトのミックス柄で、仕上げられることの多いものです。
どなたかドニゴール・トゥイードの外套を仕立てて頂けませんでしょうか。

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