亜麻色とアストラカン

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亜麻色は、麻の色のことですよね。ベージュと金色の中間くらいの色なのでしょうか。

🎶 亜麻色の長い髪を………

1968年に、ヴィレッジ・シンガーズが歌った曲に、『亜麻色の髪の乙女』があります。
橋本 淳の作曲。すぎやま こういちの作詞。
『亜麻色の髪の乙女』は、もともと1910年に、ドビュッシーが作曲した前奏曲だったようですね。
ドビュッシーは、フランスの詩人、ルコント・ド・リールの詩、『亜麻色の髪の乙女』に想を得ているとか。

矢つぎ早やに、露で重い森の茂みから。
ひとふしの音楽が舞いあがる、

ルコント・ド・リールの『星たちの落ちる時』と題する詩の一節に、そのように出てきます。
これでは詩から音楽が生まれるのも、当然でしょう。それはともかく「亜麻色の髪の乙女」の表現が、かなり古いことが窺えるでしょう。亜麻、つまりリネンは、美女の表現とも、無関係ではないのですね。

「………と鶏冠めかして亜麻色の前髪をたてた………」

1889年に、二葉亭四迷が翻訳した『めぐりあひ』に、そのような一節が出てきます。原作は、ツルゲーネフなのですが。

亜麻色が出てくるミステリに、『共産主義者の犯罪』があります。1935年に、英国の作家、G・k・チェスタトンが発表した短篇。

「今も教授は、平らになでつけられた亜麻色の頭髪の一本も逆立てることなく………」

チェスタトンの『共産主義者の犯罪』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「………以上の諸点にさらに加うるにアストラカンの外套………」

これはあるアメリカ人富豪の着こなしとして。
アストラカンは、羊の毛皮。カスピ海沿岸のアストラカンが優秀とされています。
アストラカンのなによりの特徴は、「腹子」。そのために、細かい、強い、ウエイヴのあらわれることです。色は、黒。温かいこと、この上もなし。
どなたかアストラカンの外套を仕立てて頂けませんでしょうか。

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