メトロノームとメロン

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メトロノームは、拍節器のことですよね。音楽の練習には欠かせないものです。
メトロノームは、1812年に、オランダのディートリッヒ・ヴィンケルが考案したんだそうですね。
それをもとに、ドイツのヨハン・メルツェルが改良して、特許を得ています。1816年のことです。
メトロノームの名前は、ギリシャ語の「メトロン」と「ノモス」との合成語だったそうですね。それは、「拍子の基準」の意味であったという。
ドイツのヨハン・メルツェルは、ベートーヴェンとも友人で、ベートーヴェンもメトロノームの発明を大いに喜んだそうです。

「節度計ほど正確に、徳川時代思はせるくらゐな、といふのは、今の時代からすればやや間遠な二拍子を刻んで、定齋屋がやつて來て………」

1927年に、里見 とんが発表した『今年竹』に、そのような一節が出てきます。
里見は「節度計」とかいて、「メトロノーム」のルビを添えているのです。
ここでの「定齋屋」は、昔の薬売りの様子。夏負け予防の薬を、箱に担いで売りに来たんだとか。その薬箱に引手がついていて、カタカタと、鳴る。夏の風物詩だったのでしょう。

メトロノームが出てくる記録文学に、『七日七たび』があります。1947年に、エマニュエル・ダスティエが発表した読物。

「………メトロノームのような正確さで、窓の周囲を行きつ戻りつする足音に気を奪われる。

この時代背景は、1940年代。ドイツ占領化時代のフランス。当時のフランスでは、地下組織があって、ナチス占領に抵抗していたグループがあったのです。
著者の、エマニュエル・ダスティエもまた、そのグループのひとりだった人物。
その意味では、『七日七たび』は貴重な資料だと言えるでしょう。
この『七日七たび』を読んでおりますと、こんな描写が出てきます。

「山高帽をかぶり、バター色の手袋をしているために、あやうく顔と会った場所とを確かめそこなうところだったのだが。」

これは「デュラン」という人物について。
ここでの「山高帽」は、ボウラーのことでしょう。フランスなら、「メロン」。正しくは、「シャポオ・メロン」でしょうか。もちろん、メロンを半分に切った形をしているので。
この一文によって、地下運動の人々も、メロンをかぶった人がいたということが、分かるでしょう。
どなたか白のメロンを作って頂けませんでしょうか。

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