モーニングとモアレ

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モーニングは、朝のことですよね。あるいはまた、午前中のことでしょうか。
「グッド・モーニング!」は、いつ聞いても、美しい言葉であります。
「モーニング・ギフト」。中世の英国には、そんな言い方があったんだそうですね。
結婚の翌朝、新郎が新婦に与えた贈り物のこと。
モーニングとおしゃれ。たとえば、モーニング・コート。
十九世紀には、人を訪問するには、午前中がよい。そんな考えがあったという。当然、馬に乗ってゆく。それで、「モーニング・コート」。
要するに、モーニング・コートは馬に乗りやすい服装だったのですね。
モーニング・コートで意外に気がつかないことに、ポケット位置があります。モーニング・コートには、必ずテイルの裏にポケットを用意することになっているのです。ハンカチや小物を入れておくために。
1880年代のモーニング・コートは、多く片前の三つボタン型。時代が下がるとともに二つボタン型、一つボタン型が多くなっていったものです。

モーニング・コートではなく、イヴニング・コートが出てくるミステリに、『ギリシア棺の謎』があります。。1932年に、エラリー・クイーンが発表した長篇。

「………ハルキスが持っていたエ燕尾服のうち一着と着換えさせたものだった。」

ゲオルク・ハルキスは、ニュウヨークの美術商という設定になっています。
ゲオルク・ハルキスはまた、メモ魔でもあって、自分の従弟が、何時、何を着るのかまで、書いているのです。
たとえば。

月曜日=ねずみ色のツイード服。黒のブローガン靴。ねずみ色靴下。カラー付き薄ねずみ色シャツ………」

この調子でずっと日曜日まで克明に記されているのです。
また、『ギリシア棺の謎』には、こんな一節も出てきます。

「中には、みんな同じな、赤の波形模様のネクタイが六本はいっていた。」

これはハルキスが洋服箪笥を調べている場面でのこと。
「波形模様」は、たぶん「モアレ」のことかと思われます。
絹地の型押し模様。ネクタイだけでなく、女性のイヴニング・ドレスなどにも用いられる優雅な素材です。
どなたかモアレのネクタイを作って頂けませんでしょうか。

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