アッサンスールは、エレヴェーターのことですよね。。
アメリカ英語で、エレヴェーター。イギリス英語で、「リフト」。フランスでは、「アッサンスール」ascenseur となるんだそうです。
アメリカのエレヴーターは大型で、立派なものが多い。一方、フランスのアッサンスールは、小型で可愛らしいいものが、少なくありません。
「上下する鳥籠」と形容したいものも珍しくないでしょう。
「鳥籠」の扉を自分で開けて、鳥になったつもりで、なかに。また、扉を閉めてボタンを押すと、上なり下なりに動いてくれるのです。
巴里の旧いアパルトマンなどには、お一人様用のアッサンスールもあったりします。
もちろん、お二人様限定アッサンスールも。偶然、見知らぬ異性と乗り合わせたりすると、緊張この上なしであります。
巴里のアッサンスールの小さいことを。「フランス人はケチだからなあ」などということがあります。
でも、それは大間違い。建物とアッサンスールの時代の順序が異なっているから。フランスには十六世紀、十七世紀の屋敷も少なくないでしょう。その時代に、アッサンスールはまだ生まれていなかったのです。
まずはじめに建物があって。その後の時代に、やや強引にアッサンスールは嵌め込んだからなのです。
アッサンスールが出てくるミステリに、『死刑台のエレベーター』があります。1956年に、ノエル・カレフが発表した物語。
1957年には、ルイ・マル監督で、映画化もされています。ジャンヌ・モローと、モオリス・ロネとの共演で。
原作の『死刑台のエレベーター』を読んでおりますと、こんな描写が出てきます。
「しかし娘はまだアノラックのディスプレイを眺め続けていた。」
これは、「テレザ」という女性の様子について。ウインドーの「アノラック」に惹かれていたのでしょうか。
もしかすれば1955年頃のパリで、アノラックが流行っていたのでしょうか。
アノラックは、もともとイヌイットの服装。アザラシの一枚革で仕立てられる防寒着。
寒風を防ぐためにフードが付き、前開きなしのスタイルになっています。
どなたかアザラシのアノラックを作って頂けませんでしょうか。