コクトオとコート・ドレス

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コクトオは、フランスの作家ですよね。代表作は『恐るべき子供たち』でしょうか。
もちろん、ジャン・コクトオであります。

「彼はとりわけダッフルコートと上着の袖口をまくるのを流行らせたが………」

キャロル・ヴェズヴェレール著『ムッシュー・コクトー』の一節に、そのように出ています。ここでの「彼」がジャン・コクトオであるのは、いうまでもないでしょう。
コクトオのダッフル・コートは広く識られているところでしょう。あのコクトオのダッフル・コートは、ダンサーの「ジョージ・レック」からの贈物だったという。
著者のキャロルは、富豪で、美女でもあったフランシーヌ・ヴェズヴェレールのお嬢様。フランシーヌは長年、コクトオの後援者であったお方。娘のキャロルがコクトオについて詳しいのも当然でしょう。
コクトオはフランシーヌの南フランスの別荘に長逗留することもあったという。コクトオはことに別荘の使用人たちの間で人気があったんだそうですね。使用人に対しての言葉遣いや態度物腰が丁寧だったから。

ジャン・コクトオを尊敬していた人物に、ベジャールがいます。舞踊の振り付け師、モオリス・ベジャール。

「………マリシア・ハイデの写真、若い頃のコクトーの写真………」

ベジャールの自伝『モーリス・ベジャール回顧録』に、そのように書いてあります。
これはスイス、ローザンヌの自宅書庫での様子について。
モオリス・ベジャールは当然のように、読書家であったようですね。コクトオはもとより、日本の『枕草子』から、『葉隠』、三島由起夫の小説に至るまで、目を通していた、そうも書いています。
『モーリス・ベジャール回想録』には、過去の写真も収められています。その中には、ベジャールがコート・ドレスを手に持っている一枚もあります。
「コート・ドレス」court dress
は、「大礼服」のこと。燕尾服に似ていなくもありませんが、上着全体に金糸銀糸の刺繍で満たされる正装のこと。高いものなら数千万の値打があります。
1955年、コクトオが「アカデミー・フランセーズ」の会員に選ばれた時にも、深いグリーンのコート・ドレスを新調しています。
どなたか絹地のコート・ドレスを仕立てて頂けませんでしょうか。

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