川端は、川端康成のことですよね。
川端康成は日本を代表する作家と言って良いでしょうか。
川端康成の小説に、『伊豆の踊子』があるのは、言うまでもないでしょう。
『伊豆の踊子』は大正十五年の発表。川端康成、二十八歳の時に。
『伊豆の踊子』は実際の川端康成の体験に基づいた小説になっています。
大正七年、川端康成ははじめて伊豆に旅しているのですね。ちょうど二十歳の時。
大正七年十月三十日に、修善寺に着いています。
修善寺からは徒歩で。
十一月二日。天城峠で、旅芸人に会っているのです。
その中のひとりの踊子が、加藤タミ。十四歳でありました。
「踊子は十七歳くらゐに見へた。」
川端康成はそのように書いているのですが。
川端康成の初恋の相手は、伊藤初代。当時、十四歳。
「十四歳」これはなにか川端康成の秘密を解く鍵なのでしょうか。
ここで話は少し飛ぶのですが。
川端康成の原作映画に、『美しさと哀しみ』があります。昭和四十年二月二十八日の公開。
篠田正浩監督。加賀まり子主演の映画。
加賀まり子は映画出演の挨拶に、鎌倉の川端邸を訪ねています。
「私がまるで加賀まり子さんのために書いたやうな、ほかの女優には考へられないやうな、主演の加賀まり子がそこに現れた。」
川端康成は『加賀まり子』と題する随筆の中に、そのように書いています。
その頃の加賀まり子は、川端康成の眼からは十四歳くらいに想えたのでしょうか。
川端康成と親しかった作家に、三島由紀夫がいるのは、ご存じの通り。
三島由紀夫が昭和三十五年に発表した長篇に、『宴のあと』があります。この中に。
「これかい? これは一九二八年にロンドンで作つた外套だよ。」
これは「野口雄賢」の言葉。
野口雄賢は、外務大臣と設定されているのですが。
「外套」は、オーヴァー・コートのこと。
上着の上に重ねる服なので、オーヴァー・コート。
どなたか1920年代の外套を仕立てて頂けませんでしょうか。