カプチーノは、美味しいものですよね。カプチーノはもちろんエスプレッソの上にミルクを浮かせたコーヒーのこと。ただしミルクを泡立てているので、軽くて、ふわりと浮かんでくれるのです。まるで淡雪か入道雲のように。
カプチーノをゆっくり飲むと。口のあたりで、泡ミルクとコーヒーとがひとつになって。この快感がカプチーノならではの魅力なんでしょう。
カプチーノは、イタリア生まれ。イタリア人は、「カプッチョ!」とも呼ぶんだそうですね。「カプチーノ」はよく知られているように、宗教と無関係ではありません。「カプチン派」のお坊さんに似ているので、「カプチーノ」。茶色の僧服に、白い帽子。これがカプチーノそっくりというわけですね。
「カプチン派」をフランス風に言えば、「カプシーヌ」ともなります。パリの中心に、リュー・ド・カプシーヌが。人気あるカフェやレストランが多く並んでいる場所でもあります。
この「カプシーヌ」が出てくるミステリに、『テロリストの口座』があります。2003年に、クリストファー・ライクが発表した物語。余談ではありますが、著者のクリストファー・ライクは、東京で生まれ、ロサンゼルスで育った人物なんだそうです。
「カプシーヌ通りとの交差点を渡っていく人波の中に同じような服装の男が七人もいる。」
『テロリストの口座』は、世界のあちらこちらを移動するストーリーなのですが、この場面はパリに置かれています。『テロリストの口座』には、こんな描写も。
「ブシュロンの金のカフスボタンで、小さな棒状になったヘマタイトの部分はオニキスやラピスラズリに付け替えることができる。」
これは投資家の、マルク・ガブリエルの持ち物。「ブシュロン」は言うまでもなくパリの宝飾店。このカフ・リンクスはセットになっていて。その時の気分に合わせて、スタイルを交換できる代物。
「ブシュロン」は高嶺の花ですが。なにかお気に入りのカフ・リンクスで、美味しいカプチーノを飲みたいものですね。