ユベロンと浴衣

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ユベロンは、薬の名前ですよね。今もあるのかどうかは知りません。でも、以前「ユベロン」というのがあったのは、間違いありません。たしか「エーザイ」の製品。ヴィタミンE主体の薬で、肝臓を良くしてくれるんだとか。
似たようなものに、「ユベラ」なんてのもあったらしい。どうしてここにユベロンが出てくるのか。幸田 文の随筆を読んだから。
いつのことなのか、幸田 文は猫を飼っていて。その愛猫が、病んだ。病んだので病院に。医者は、「肝臓障害だ」と。そこで出されたのが、「ユベラ」。

「動物用ユベラをお医者さんからすすめられ、これはひじょうに効果があって………………」

幸田 文著『ユベロン礼讃』に、そのように書いています。幸田 文のニャンちゃんは、水を飲むのが好きで。その時、花の間から顔を出して、それで水を飲むのがなによりもお好きだったとも書いています。
幸田 文は着物の達人で、一生のほとんどを着物の着こなしに費やしたお方でもあります。その幸田 文に、『ゆかた』と題する名文があります。

「ゆかた毎年新しいのをさっと著て、一ト夏でさっと終わるのがいゝ。」

このように、書いています。
前にも申しましたが、浴衣は「湯帷子」から出ていて、風呂あがりの「汗とり」だったのです。それを明治になって、真新しい浴衣を「一度だけ」大冒険で、外で着た。それが今の浴衣のはじまりなのです。
もちろん、時代が違うといえばそれまでのことですが。でも、幸田 文のいう「ゆかたの心意気」だけは、日本人として忘れたくないものですね。

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