ジーキルと仕立屋

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ジーキルは、ハイドのことですよね。
もう少し正確に申しますと、『ジーキル博士とハイド氏』。英國の作家、
スティーヴンソンの小説ですね。1886年に、ロバート・ルイス・スティーヴンソンが発表した物語。まあ、人間の善と悪の話とでも言っておきましょうか。
いや、人間の根源に関する物語でもあるのでしょうね。
『ジーキル博士とハイド氏』。スティーヴンソンはかねてからこの物語の構想は持っていたらしい。でも、ある特殊な薬品を用いる方法は、夢のお告げから。ある夜の夢に、くっきりとその薬品のことが出てきて。それで、ハタと膝を打ったんだそうです。
スティーヴンソンは「ジーキル博士とハイド氏」の原稿を書いて、愛妻のファニーに読んでもらう。
妻、ファニーの意見は、辛辣。すると、スティーヴンソンは原稿を暖炉にくべて。もう一度書斎に籠って、三日で書いたと伝えられています。
その頃も、スティーヴンソンは宿痾の胸の病を抱えていたわけですから、これは美談といってよいでしょう。
今、私たちが優れた物語として『ジーキル博士とハイド氏』が読めるのは、ファニーのおかげでもあるわけですね。
ファニー・オズボーンとスティーヴンソンは、1877年に、巴里のフォンテンブロー公園で偶然に知り合って、戀愛。ファニーはロバートの十一歳年上でありました。
いろんな事情から二人が結婚するのは、1880年のこと。ファニーには、ロイドという男の子があったのですが。
ロバートは、ロイド・オズボーンを我が子のような可愛がってもいます。
スティーヴンソンの代表作のひとつに、『宝島』があるのは言うまでもありません。あの、
『宝島』は、もともと退屈していたロイドのための、スティーヴンソンのお伽話だったのです。それがあんまり面白いので、後に一冊の本となったのであります。
『ジーキル博士とハイド氏』に話を戻しますと。ここには「序文」が用意されています。この「序文」を何度読んでも私には解けない謎の言葉があります。

「克己心の強い人で、ひとりのときは好きな葡萄酒を控えてジンを飲み……………………。」

これは弁護士の、アスタンのこと。ここから物語がはじまるのですが。
「葡萄酒を控えてジンを」。これはどのように理解すべきか、お教えくだされば、幸いです。
ところで、スティーヴンソンは自分のことを、自分ではどんなふうに考えていたのでしょうか。さあ。

「………仕立屋が衣服を裁つ技術に自信を持つやうに、俺は、ものを書く技術に自信を有つていいのだ。」

どうもスティーヴンソンは、そうも考えていたフシがあります。
ロバート・ルイス・スティーヴンソンは、1890年頃の英國人としては、比較的はやくから、ラウンジ・ジャケットを好んで着ていたようです。
どなたか技術に自信を持って、1890年代のラウンジ・ジャケットを再現して頂けませんでしょうか。

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