鳩とパール・ボタン

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鳩は、ダヴですよね。鳩はまたピジョンとも。
「ピジョン」はどちらかといえば「飼鳩」で。「ダヴ」は「野鳩」といった印象があるようですが。
鳩は歩いていても転ばないんだそうですね。それで、「鳩の杖」。杖の握りに鳩の姿が刻まれていて。この「鳩の杖」を携えていると、転ぶことがないんだそうです。
むかしから天皇陛下から授けられるのは、「鳩の杖」ということになっているんだとか。
鳩は素直な鳥だと考えられているらしい。

「鳩のごとく素直に、蛇のごとく聡かれ」

そんな言いまわしがあるという。

「……………鳩のごとく素直に、蛇のごとく慧かれ、というイエスの言葉をふと思い出し、奇妙に元気が出て、お手紙を差し上げる事にしました。」

昭和二十二年に、太宰 治が発表した『斜陽』の一節にも、そのように出てきます。
鳩は、ことに白鳩は、イエス・キリストと関係があるようですね。

「……………霊が鳩のように天から降って、この方の上にとどまるのを見た……………」

聖書『ヨハネ伝』にも、そのように書かれています。「この方」がイエスを指しているのは言うまでもないでしょう。これはイエスが洗礼を受けた瞬間の様子なのです。
「ノアの方舟」の話はあまりにも有名でしょう。
ノアは方舟から鳩を放って。その鳩が緑色のオリイヴの枝を咥えて帰ってきて。これによってノアはすでに洪水が去ったことを知るわけであります。

『鳩の巣』と題する短篇を書いたのが、マンスフィールド。英國のキャサリン・マンスフィールド。1920年代はじめのことです。
また、マンスフィールドは、『鳩の夫妻』も。1921年7月に。

「これは『鳩夫妻』より良いように思えるが、いぜんとして十分ではない。私がずいぶん努力したことは神様もご存知だ。」

7月23日の『手記』に、マンスフィールドはそんなふうに書いています。

「パール・ボタンは箱のお家の庭の小さな鉄の門をぶらんこ代わりにして遊んでいた。」

1924年に、マンスフィールドが発表した短篇『パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか』に、第一行。
これはその題の通り、パール・ボタンが擬人化されて主人公となる童話風の物語なのです。

パール・ボタンは真珠のボタンではありません。中世の王侯貴族の間には本物の「パール・ボタン」もあったでしょうが。今いう「パール・ボタン」は、貝ボタンのこと。貝の真珠層を材料に仕上げられるボタンのことなのですね。
有名な倫敦の「パーリーキング」が全身に飾っているのも、パール・ボタンのひとつであります。
どなたかパール・ボタンが映えるシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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