シンプソンは、姓のひとつですよね。よく知られたところでは、シンプソン夫人がいます。ウォリス・シンプソン。
シンプソン夫人は１９３７年６月３日。ウインザー公爵と結婚しています。シンプソン夫人もまた、たいそうおしゃれなお方で、「ウォリス・ブルー」は、シンプソンがお好みだった色ですね。
シンプソンで、おしゃれな店でといえば、「ダックス・シンプソン」でしょうか。「ダックス・シンプソン」のはじまりは、テイラー。１８９４年のことです。倫敦、サヴィル・ロウの、「ハウス・オブ・シンプソン」が、その最初。シメオン・シンプソンが開いたので、その名前があります。
一時期、「ハウス・シンプソン」は、二十四時間営業のテイラーとして、評判になったことが。第一大戦以降は、既製服にも進出。
１９３２年になって、シメオンの息子、アレクサンダーが二代目を継いでいます。
そして、１９３４年に、アレクサンダー・シンプソンが打ち出したのが、「DAKS」だったのです。DAKS は、「ダディのスラックス」の頭文字からの造語。
DAKS は、ベルトもブレイシーズ もなしに穿けるフランネルズのことだったのです。翌年には、特許を得てもいます。このDAKS の成功から、「ダックス・シンプソン」を名乗るようになったものです。
シンプソンが出てくるミステリに、『スピアフィッシュの機密』があります。ブライアン・キャスリンが、１９８３年に発表した物語。

「セルフリッジスであって以来、シンプソンはちっとも変わってなかった。」

これは、英國海軍退役中佐、エドワード・シンプソンのこと。主人公の、マイケル・クロフツから眺めての様子。では、エドワード・シンプソンはどんな服装なのか。

「細縞のズボン、黒い上着、山高帽。それにもちろん、きちんとたたんだ蝙蝠傘を片方の腕にひっかけている。」

ある時、クロフツとシンプソンが並んで歩いていると。ひとりの老婦人と出会す。と、クロフツが一歩脇に寄って、老婦人を通す。

「婦人は感謝の微笑を返した。その微笑には、シンプソンのような紳士がいまやめっきり少なくなったことへの悲しみが示されていた。」

１９８０年頃のロンドンでもそうなんですから。まして…………………。。