ギリシアは、古代文明の栄えた国ですよね。ホメロスの書いた『オデュセイア』は、たぶんお読みになっていることでしょう。
あるいは、アイリアノスの『ギリシア奇談集』なども。『ギリシア奇談集』は、紀元前200年頃に完成されたと考えられています。この中に、著述家の「クセノポン」の話が出てきます。
クセノポンは、ソクラテスの弟子で、騎士でもあった人物。
「………とりわけ美しい武具を身につけることに意を用いた。」
その理由は、敵に勝つには美しい衣裳がふさわしい。と、考えていたので。
クセノポンは、盾は「アルゴリス」のものを。鎧は「アッティカ」のものを。馬は「エピダウロス産」のものを好んだと、記されています。
古代ギリシアにも「ブランド」があったのでしょうか。
大正十三年に、ギリシアを旅したお方に、安倍能成がいます。安倍能成は、以前、学習院の院長だった人物です。
安倍能成には、紀行文『ギリシアの旅』があります。
「十時前に船は動き出した。甲板に出て見ると、三日頃の月が海に影をうつして、ブリンディシの燈影は間近く赤い。」
安倍能成は、イタリアの港、ブリンディシから船でギリシアに渡ったようです。
1月30日(金曜日)の夜に出て、2月1日(日曜日)の朝、ギリシアの港、ピラェウスにー到着しています。
ギリシアが出てくる小説に、『回転木馬』があります。
1905年に、イギリスの作家、モオムが発表した物語。
「………ギリシャ行の次の船が出るまで二人はブリンディシで一週間を過ごさなくてはなならなかった。」
また、『回転木馬』には、こんな描写も出てきます。
「が、それと対照的に、上質な金巾製のシャツと襞飾りは純白に輝いている。」
これはルネッサンス期の肖像画を眺めている場面。
「金巾」の脇には「キャンブリック」のルビが添えてあります。
「キャンブリック 」cambric はもともと麻織物。フランスの「カンブレー」Cambrai で最初に織られたので、その名前があります。
どなたかキャンブリックのシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。