スモックは、上っ張りのことですよね。たしか、幼稚園の頃に着せてもらった記憶があります。たぶんあのスモックは、下の服への汚れ防止という意味があったのでしょう。
smock と書いて「スモック」訓みます。これは古代英語の「スモック」smock
から出た言葉なんだそうですね。その意味は「女性用のシャツ」であったという。
また、スモックから出た言葉に、「スモッキング」があります。亀甲形の刺繍のことですね。刺繍は刺繍なんですが、襞飾りのための刺繍という意味を持っています。
時に「スモック・フロック」ということもあるようです。が、ほぼ同じものと考えて良いでしょう。
「長めのスモックを着て店番をしていた登美子は、阿蘇紀を見ると、いきなり歓声をあげて、勢いよく腕をとった」
1963年に、竹西寛子が発表した小説『儀式』に、そのような一節が出てきます。
ああ、店番なんかにもスモックはお似合いかも知れませんね。
「ワイシャツ型の白衿に臙脂色の蝶ネクタイを覗かせ、首まわりと袖口をゴムで絞った水色のスモックを着た男の子たち。」
作家の河野多恵子が1968年に発表した小説『不意の声』にも、スモックが出てきます。これは幼稚園での光景として。因みに女の子のスモックは桃色だと説明されているのですが。
スモックが出てくる小説に、『ある人生の始まり』があります。これはフランスの作家、フランソワ・モーリヤックの自伝的小説になっています。
「私が汚すかも知れないと考えて、長いスモックが用意されていた。」
そして少年はもう少し大きくなると。
「はじめて長ズボンをはき、はじめて山高帽をかぶり、はじめてスモーキングを着た時代。」
それまでは、半ズボンだったのですが。
「スモーキング」は、もちろんディナー・ジャケットのことですね。
どなたか1910年代のフランスのスモーキングを仕立てて頂けませんでしょうか。