兎とウエイストコート

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兎は、ラビットのことですよね。rabbit と書いて、「ラビット」と訓みます。ラビットと帽子とは、大いに関係があるのです。
上等のソフトハットは、ファー・フェルトで作られることになっています。この「ファー・フェルト」の正体が、兎の毛なのです。
日本では兎は月との関連で考えられることになっています。

🎶 うさぎ うさぎ
なに見てはねる
十五夜お月さま
見てはねる

そんな童謡がありますよね。これには続きがありまして。

🎶 ぴょん ぴょん
うんとこどっこい
やれつけそれつけ
あらもち
あかもち
みどりもち

そのようになるんだそうです。兎と月。ここには月に祈る兎の姿が描かれているんだとか。
江戸時代に、『兎園小説』というのがありました。が、実際には江戸時代の奇談集になっています。その時代の物識りが集まって、語り合って一冊の本に纏めたものです。「奇談集」ですから、恰好のネタ本でもあります。たとえば。
「大酒大食の会」。
文化十四年三月二十三日に、両国の柳橋「万屋八郎兵衛」で、開かれた時の記録。西暦なら、1817年のことになります。
芝口の、「鯉屋利兵衛」という、三十になる男が。三升入りの大盃で、六盃と半分飲んだという。ただし、飲んだ後で倒れ。やがて気づいて、水を十七杯飲んで帰ったそうです。
そんな珍談奇談を集めた本が、『兎園小説』なのであります。

兎が出てくる物語に、『アリス物語』があります。

「けれども兎がほんとに、チョツキのポケットから、懐中時計をとりだして、それを見てから、急いで走っていきましたとき、思わずアリスは飛び起きました。」

もちろん、ルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』ただし、翻訳は芥川龍之介と菊池
寛になっています。1927年のこと。ちょっと珍しい本と言えるでしょう。

兎がチョッキを着ているのは、驚きです。英語での原文は、「ウエイストコート」waistcoat になっています。
どなたか1927年頃のウエイストコートを仕立てて頂けませんでしょうか。

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