アメリカ人は名前をつけるのが、うまいですよね。
たとえば、「サンキスト・オレンジ」。なにしろ、sunkissed なんですから。太陽をいっぱいに浴びてすくすく育ったオレンジだということが、すぐに分かりますよね。
あの「サンキスト・オレンジ」は、1919年のカリフォルニア州にはじまっているんだとか。当時農業組合の会長だった、ドン・フランシスコが考えたものと言われています。「サンキスト・オレンジ」の名前だけでなく、実際のひとつひとつのオレンジに焼印を捺した。これによって「サンキスト・オレンジ」は果物ですはじめての登録商標になったわけです。
この「サンキスト・オレンジ」の成功から、後に「サンキスト・レモン」も生まれているのは、ご存じの通り。
アメリカでの果物の商標といえば、「チキータ・バナナ」があります。これは1944年に、「ユナイテッド・フルーツ」社がはじめたんだそうです。チキータ・バナナは名前だけでなく、コマーシャル・ソングも。ガース・モンゴメリー、作詞。レン・マッケンジー、作曲。歌ったのは、パッティ・クレイトンという女性歌手。
「わたしはチキータ・バナナです ちょっとひとことおしらせを バナナは熟して食べるもの 黄金色のお肌に茶色のそばかす お味は最高……」
そんな歌詞だったそうです。
バナナがはじめて日本に伝えられたのは、明治三十六年九月のこと。台湾の商人が台湾バナナを神戸港に運んだものだという。
バナナが小説の題名に使われた例としては、『バナナフィッシュにうってつけの日』があります。J・D・サリンジャーが1948年の『ニューヨーカー』誌に発表した短篇。
「チキータ・バナナ」と同じ年の1944年にサリンジャーが書いた小説に、『最後の休暇の最後の日』が。
「グレーのフランネルのズボンをはき、白いワイシャツの襟をはだけ、ダイヤ形の模様のついた色靴下の上に茶色の短靴をはき……」
これは、ジョン・F・グラドウォーラー二世の着こなし。「ダイヤ形の模様のついた色靴下」。これは、アーガイル模様のことではないでしょうか。
アーガイル・ソックスで、アメリカに行きたいものですが……。