ウインザー公は、紳士服飾の20世紀のスタイルやトレンドに大きな影響と功績を残した。それは21世紀の現代でも、燦然と輝き続けている。そんなウインザー公へのオマージュも込めて、選びぬいた情報や製品をセレクトしてお伝えします。
マーク・グィヨ氏は最近のパリ紳士服飾界の中でも、近年稀に見るセンスの良さで知られる。マーク氏はティーンエイジャーの頃より、1940〜50年代のアメリカ東部のメンズファッション(アイビーやトラッド)に目覚め、やがて古いギャング映画の世界観にも惹かれていったようだ。それは、ハンフリー・ボガート、ジョセフ・コットン、フィリップ・ノワレなどのフィルムスターのスタイルだ。そんなマーク氏が、パリ・マドレーヌの裏通りで「ケープ・コッド」と言う店をオープンし、一部の好感度な人々から注目を集めるようになったのが2000年頃だった。
近年では彼の名を強調した「MARC GUYOT」として店名を少し変更して、靴とテーラーを主力に取り扱う紳士用品のブティックを引き続き経営している。
マーク・グィヨ氏が、この約16年間で感じてきたのは、スタイル追求には満足がないが、いつまでも究極や完璧を求め続ける事が重要だという。しかし、完璧は存在しないが色々なテイストを吸収して最良の着こなしを常に分析している、との事。
最近ではフランスのイブ・デニス氏が編集長を務める2つの雑誌「DANDY(男性雑誌)」と「POINTURE(靴専門誌)」でもマーク氏は注目を集めるようになり、益々フランス・パリを代表するスタイルセッターとして名を馳せている。
彼の店舗は決して大きくはないが、厳選した服装アイテムが揃っている。紳士服の過去の正統派のスタイリングや現代的エレガントな着こなし方を常に模索。そこには、装い全体の微妙な色の合わせ方や伝統的な柄の組み合わせ、と言ったマーク・グィヨ氏ならではの高レベルな着こなしが存在している。さらに、ジャケット、ウエイストコート、トラウザーズからドレスシューズに至る絶妙なコーディネートのバランス感覚は特に素晴らしい。
最後に彼の名誉にも関わる事だが、決して着飾る事でのダンディの代表がマーク・グィヨでは無く、彼は自身の個性やパリのマドレーヌに古くからある、良い時代の風情を大切にしながら、良質な顧客のために装いの美意識を常に考えている、と言う解釈が正しいだろう。今後のマーク氏の活躍は益々楽しみな限りである。