クロスワード・パズルというのがありますよね。ところどころに空白があって、これを言葉で埋めてゆく遊び。遊びは遊びなんですが、けっこう頭を使うゲームでもあります。頭の体操にも最適でしょう。
クロスワード・パズルがお好きな人に、コリン・デクスターがいます。コリン・デクスターは英国の推理作家。1975年の第一作『ウッドストック行最終バス』以来、渋く、凝ったミステリを愉しませてくれています。
コリン・デクスターは単なるクロスワード・パズル好きというのではなく、出題者。コリン・デクスターは出題者として、チャンピオンに何度か選ばれてもいます。コリン・デクスターはクロスワードの出題者から推理作家になったのでは、と思いたくなってくるほどです。あるいはクロスワードを作るようにミステリを書く人なんでしょうか。そのデクスターは、こんなふうにに言っています。
「私のミステリは、クロスワードの解き手が辞書なしでやれるようでありたい。」
クロスワード・パズルはたいてい一ヶ所、難問があって、特殊な古語が隠されていたり。でも、出題者のデクスターに言わせと、「それはフェアではない」。うーん。クロスワードの出題にも美学があるんですね。
アメリカでクロスワード・パズルがはじまったのは、1913年のことなんだとか。『ニューヨーク・ワールド』紙の日曜日特別付録に。これは記者の、アーサー・ウィンのアイデアだったそうです。アーサー・ウィンは英国人で、子どもの頃、『ロンドン・グラフィック』誌にクロスワードが出ているのを憶えていたからです。
1913年2月27日。NY、ブルックリンに生まれたのが、アーウィン・ショー。アーウィン・ショーが1950年代に書いた短篇に、『ニューヨークの喧騒』があります。この中に。
「着ているダーク・グレイの服は細目の最新流行で、ボタンダウンのオックスフォード・シャツに派手なストライプの蝶ネクタイである。」
これは、小説の中の、ウェザビーという人物の着こなし。
なにかお気に入りのボウ・タイで。易しいクロスワードの出ている雑誌を買いに行きましょうか。