山賊焼とサングラス

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山賊焼というのがあるんだそうですね。主に山口県での鳥の唐揚を指すらしい。
もっとももうひとつの「山賊焼」があって。もうひとつの「山賊焼」は、ごく簡単にいって、牛肉のオイル焼き。
牛肉のオイル焼きを、溶かしバターにカレーパウダーを混ぜたものを、ソース代りにして、食す。この時、右手に箸、左手に生玉ねぎを持って、牛肉の間に囓るんだそうです。黒澤 明著『蝦蟇の油』に出ています。
黒澤 明は1950年に、『羅生門』を撮っています。もちろん、芥川龍之介の原作。『羅生門』はほとんど、奈良と京都で撮影。出演は、三船敏郎、森 雅之、志村 喬………。俳優たちの食べること食べること。それで、黒澤 明が「山賊焼」を発明したんだとか。
『羅生門』には雨に降りこまれる場面があります。羅生門は大きな門なので、大きな雨が必要。それで、撮影所に消防車を呼んで消火栓から大量に雨を降らせたという。でも、まだ雨の写りが悪いというので、少し墨汁を混ぜたとか。
『羅生門』の撮影中、たまたま撮影所内でボヤがあった。が、すぐに消防車が消してくれたそうです。
黒澤 明は森の向こうに太陽の輝きが欲しかった。カメラは、宮川一夫。黒澤 とは『羅生門』がはじめての映画。で、宮川は思いきって太陽にレンズを向けた。成功。でも、黒澤 明は宮川一夫に何ということもない。宮川は太陽の出来を気にしている。
宮川一夫は友人の、志村 喬にそのことを黒澤に言った。黒澤はすっかりそのことを忘れていた。志村 喬に言われてはじめて。
「百点だよ。キャメラは百点! 百点以上だ!」
これもまた、『蝦蟇の油』に出ている話なんですが。『羅生門』は、ヴェネチア映画祭の金獅子賞を得ています。
晩年の黒澤 明が独特のマリン・キャップと、サングラスを愛用したのは、よく知られているところでしょう。もっとも黒澤 明の場合は、「黒眼鏡」というのに近いのかもしれませんでした。

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