ポオとポインテッド・ボウ

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ポオといえば、まず第一に、エドガー・アラン・ポオを想い浮かべますよね。エドガー・アラン・ポオは、はじめて推理小説を書いた作家なんだそうです。
たとえば、『モルグ街の殺人』。これは1841年に発表されています。ポオ、三十二歳の時。当時、ポオは乞われて、『グレアム・マガジン』の編集長だった時期。その頃の『グレアム・マガジン』の部数、5,000部前後。これをなんとか殖やしたいというので、自ら筆を執ったのでしょう。
その結果。と決めつけるわけではありませんが。すぐに、37,000部になったそうですね。たとえばポオ自身には「推理小説」という考えはなかったでしょう。少しでも多くの人に読んでもらいたい、との想いから、「謎解き物語」になったものと思われます。
ポオはその後も、『マリー・ロオジェの謎』、『黄金虫』、『盗まれた手紙』などの名作を書いています。ポオが探偵役に、「デュパン」を登場させているのは、言うまでもありません。このデュパンに倣ったのが、「リュパン」であって、いかにポオが後の推理小説に影響を与えたかが、分かるというものです。
ポオを評価したひとりに、三島由紀夫がいます。三島由紀夫は、『発射塔』という随筆の中で、推理小説についてこんな風に書いています。

「ポオの短編を除いて、推理小説といふものは文学ではない。」

いかにも三島由紀夫らしい発言でもあるでしょう。でも、三島由紀夫よ、何かひとつ忘れてはいませんか。モオム作の『アシェンデン』。『アシェンデン』は短篇ではありませんが、れっきとした「文学」になっていますから。
その三島由紀夫の「文学」に、『盗賊』があります。『盗賊』は、昭和二十三年の発表。昭和二十三年に写された三島由紀夫の顔写真に。珍しく、蝶ネクタイを結んだ姿があります。その蝶ネクタイは、中央に一本の白線があしらわれたデザインで、その両端は尖っています。この左右の端が尖ったスタイルを、「ポインテッド・ボウ」と言います。
さて、ポインテッド・ボウを結んで。三島由紀夫の『盗賊』を探しに行くとしましょうか。

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