ブルゴーニュとブレイザー

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ブルゴーニュといえば、もちろんワインですよね。フランス、ブルゴーニュ地方のワイン。あちらにボルドーがあれば、こちらにブルゴーニュがあるというわけです。
ボルドーがふつう貴婦人にたとえられるのに対して、ブルゴーニュは男らしいワインだと考えられているようですね。かの有名なロマネ・コンティもまた、ブルゴーニュに産するワインであるこというまでもありません。
十九世紀、フランスの詩人、テオドール・ド・バンヴィルの詩に、『無敵の女』があります。
この中に。

まじめくさった愚痴はもうたくさんだ、
たけり立ったバッカントたちに
踏みくだかれたぶどうの真紅の血、
ブールゴーニュ酒が流れあふれた今は。

というくだりがあります。もちろんブルゴーニュ・ワインを褒め讃えた詩なのです。ブルゴーニュだけでなく、むかしの葡萄酒はたいてい乙女が足で踏んで粒を潰したものです。
ブルゴーニュ・ワインが出てくるミステリに、『われらが背きし者』があります。英国の作家、ジョン・ル・カレが、2010年に発表した物語。

「ブルゴーニュの赤ワインのボトルも傾き、中身がカーペットの上にこぼれ出そうになったが、ペリーがすばやく受けとめて、元の状態に戻した。」

ペリー・メイクピースは、物語の主人公という設定。食事中、ある人物がテーブルを拳で叩いた場面でのこと。
『われらが背きし者』の中には、こんな描写も。

「真鍮のボタンが付いた、いかにもイギリス的な紺のブレザーを着ている。イギリスの上流階級が好んで「ボーティング・ジャケット」と呼ぶ類いのものだ ー ルークも上流階級の出身なので、こうしたことは心得ている。」

ルーク・ウィーヴァーは、英国諜報部員という設定になっています。
ここでの「ボーティング・ジャケット」は、両前ブレイザー。ある種の英国人は、片前ブレイザーと、両前ブレイザーとは、その出身が異なると、考えているらしい。
片前ブレイザーがスポーツ服であったのに対して、両前ブレイザーは海軍の制服から来ているのだ、と。つまり「ボート」はイギリスの軍艦を指しているわけですね。
まあ、それはともかく。しかるべきブレイザーを着て。美味しいブルゴーニュ・ワインを飲みに行くとしましょうか。

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