ローマ字とロイド眼鏡

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ローマ字は、なかなか便利なものですよね。ローマ字からして、「ろーま字」としたのでは、ちょっと感じが違ってきます。外来語をアルファベットで書くにも最適でしょう。
今、多く使われているローマ字は、ヘボン式というんだそうですね。アメリカ人宣教師、ヘボンが考えたので、ヘボン式。
ヘボンのほんとうの名前は、ヘップバーン。ジェイムズ・カーティス・ヘップバーン。開港間もない横濱に着いたのは、1859年10月18日のことなんだそうです。
ヘップバーン家の歴史を遡ると、十六世紀のスコットランドに辿りつくとか。メアリー女王と結婚した、ジェイムズ・ヘップバーン・ボズウエラ伯爵こそが先祖であるとも。もしかすれば、オードリー・ヘップバーンやキャサリン・ヘップバーンともどこかでつながっているのかも知れませんが。
ヘボン式ローマ字はちょっとした副産物でもあるのです。ヘボンは1867年にはじめてとなる「和英辞典」を出しています。この「和英辞典」を作るのに、ローマ字が必要だった。ヘボンが耳で聴いた日本語を、いかにアルファベットに置き換えるのか。それが結果として、ローマ字となったのです。
ただ、ヘボン式ローマ字も最初から完全だったわけでもなく。幾多のご苦労があったようですね。
たとえば、「頭痛」はどのように書きあらわすのか。はじめは。
dz ts u。だったらしい。それがやがて。
dzu tsu。になって。最後に。
zutsu。として定着したという。
ローマ字を多く使った詩人に、宮澤賢治がいます。たとえば。

dah- dah-dah-dah-dad-sko-dah-dah……………。

これは『剣舞の歌』の一節。剣舞の太鼓の音をローマ字で表しているわけです。
宮澤賢治の詩に、『せなうち痛み息熱く』があります。この中に。

「ひとみやさしくうるめるや
ロイドめがねにはし折りて…………………」

という件が出てきます。
ロイドめがねは、アメリカの喜劇役者、ハロルド・ロイドが愛用したので、その名前があります。1920年代のこと。
ロイド眼鏡は、黒い太縁で、丸みをおびたフレームのこと。ロイドの影響から、戦前の日本でもずいぶんと流行ったものです。
ハロルド・ロイド自身は役柄づくりの素通しで、かけていましたが。もう一度、ロイド眼鏡、流行してもらいたいものです。
ローマ字をはっきりと読むためにも。

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