カンパニアとカラー

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カンパニアは、イタリアの州名ですよね。だいたいイタリアの中央部、ティレニアうみに面しています。「長靴」にたとえるなら、「膝下」あたりでしょうか。
カンパニア Campania は、ラテン語の「カムプス」 campus とも関係があって、「広い場所」のこと。広場とか、平原の意味があったようですね。
カンパニアから生まれた言葉に、英語の「キャンペーン」があります。広い場所を演説して廻るから。つまり、「遊説」。遊説するための資金集めが、「カンパ」になったというわけですね。
カンパニアでは古代ローマの時代からワイン造りが盛んな土地で。今も、「ファレルノ・デル・マッシモ・ビアンコ」は有名でしょう。品種は、ファランギーナ。カンパニアは主に火山灰地で、ワイン造りには向いている土壌なんだそうです。
フランスの作家、テオフィル・ゴオティエは、このファレルノ・ワインがお好きだったようです。それというのも、ゴオティエ著の『モーパン嬢』にもファレルノが出てくるから。

「ナルドの香油とファレルノの葡萄酒の匂いの染みたきれいな喜ばしい薔薇を。」

そんな風に書いています。ゴオティエ著『モーパン嬢』は、1835年に発表されています。その十年後の1845年には、改訂版が。この改訂版には念入りな「序文」が添えられているのですが。この中に。

「『デパ』紙や『クーリエ・フランセ』に載る弾力ベルト、馬毛芯入りカラー……………」。

などと書いてあります。要するに、『モーパン嬢』がいかにたくさん売れたかの宣伝をしているのですね。その引き合いに、「馬毛芯入りカラー」が使われている。ということは実際に、1845年頃の巴里に、「馬毛芯入りカラー」があったのでしょう。
「バス」は、今でも使われる堅い芯地。馬のタテガミを用いるので、その名があります。でも、カラーに入れるとは初耳。
時にはハード・カラーのシャツを着て。冷えた、美味しい、ファレルノを飲みたいものですね。

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