スコッチとスターチ

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スコッチは、十中八九、スコッチ・ウイスキーのことですよね。もちろんスコットランド産のウイスキーのことであります。
でも、戦前の日本で「スコッチ」と言ったなら、多くトゥイードのことを指したものですが。言葉もまた時代によって変わるものなのでしょう。
ウイスキーは、whiskyとも、whiskeyとも書きます。スコットランドでの「命の水」から「ウイスキー」が生まれたのは、よく知られているところでしょうね。
ところが、スコットランドでは実際には、「フイスキー」に近い発音であるらしい。常盤新平著『スコッチ街道』に出てくる話なのですが。常盤新平はウイスキーがお嫌いではないほうで、ついにスコットランドを訪問する。そのスコットランドの旅の記録が、『スコッチ街道』なのです。
常盤新平はスコットランドでスコッチをどんな風に飲むのか。これについてももちろん、書いています。
スコットランドではスコッチに水を垂らして、飲む。そんな風に書いています。少なくともストレイトではないし、水割りでもソーダ割でもなくて。
タンブラーにスコッチをたっぷりと入れ、その上から水を3%ほど注ぐ。で、飲む。氷はいっさい加えない。またウイスキーも、加える水も、室温で。
ウイスキーにほんの少し水を加えると、ブーケが開くんだそうです。そのブーケが開いたところを飲むのが…………………。なんだそうです。たぶん生のウイスキーは睡っているので、一滴の水で、目を覚まさせるんでしょう。で、その水も、そのウイスキーを造るときに使った土地の水なのでしょう。
スコッチが出てくるミステリに、『報復』があります。ジュリアン・ホフマンの傑作。

「ルビオは二杯目のスコッチを呑み干した。」

ルアド・ルビオは、弁護人という設定。『報復』には、またこんな描写も。

「糊のきいた白いシャツにダークブルーのスーツに、紺と銀色にネクタイ。」

これは、ドミニク・ファルコネッティの着こなし。
シャツに糊を効かせるのか、効かせないのか。これにも多くの意見があるようですが。あるいは、ソフト・スターチなのか、ハード・スターチなのか。
ごく簡単に言って。古典的なシャツは、ハード・スターチ。今日的なシャツは、ソフト・スターチ。まあ、結局は好みの問題なのでしょうね。
少し糊を効かせたシャツで、スコッチを飲みに行くといたしましょうか。

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