バルバドスとバティスト

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バルバドスは、カリブ海に浮かぶ国の名前ですよね。
バルバドスは、ラム酒発祥の地という説があるんだそうです。十七世紀に、英國からサトウキビが運ばれて。このサトウキビがバルバドスの気候風土によく合っていたらしく、すくすく成長。このサトウキビを原料にラム酒が造られるようになったとか。
バルバドスが出てくる小説に、『モーパン嬢』があります。1835年に、テオフィル・ゴオティエが発表した物語。

「ロゼットは、グラス一杯のカナリア諸島のワインにバルバドス・ラムを少々、わたしも大体そのくらい飲みました。」

ここから想像するに、ゴオティエもまた、ラムがお好きだったのでしょうか。
日本の作家では、高見 順でしょうか。1955年に、高見 順が発表した小説に、『都に夜のある如く』があって。この中に。

「ラムでございます」と言った。
「ラムか。そいじゃ、バカ………なんとかは?」
「バカルディでしょうか」
それそれと私が言うと……………………。

そんな場面が出てきます。これはバアでのボーイと「私」のやりとりとして。
この『都に夜のある如く』には、「麻布」の話も。
日本語の、「麻布で気が知れぬ」の語源は何であるか、と。高見 順説によりますと。
昔の麻布 ( あさぬの ) は黄のような曖昧な色が多くあった。ここから曖昧な男の態度を花魁が、「麻布で気が知れぬ」と言ったのが、はじまりだとか。
ここで、もう一度、ゴオティエの『モーパン嬢』に戻ります。ロゼットは、どんな服装なのか。

「ミルクのように白いバチストの部屋着だけで………………………」。

これはおそらく「バティスト」 b at ist e のことでしょう。バティストは、もともと麻布。
十三世紀、フランスのバティストという織物業者がはじめたので、その名前があります。
バティストは、シャツ地には、最高。バティストのシャツで、ラムを飲みに行きたいものですね。

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