運動と雲斎織

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運動は、身体を適度に動かすことですよね。体操にも似ています。体操は、運動のひとつなんでしょうね。
歩くのも運動ですし、柔道も運動です。運動の幅は、広いものと思われます。
むかし、ある男。医者から運動を勧められた。もちろん、小説の中の話なんですがね。1880年に、フランスのギイ・ド・モオパッサンが発表した『パリ人の日曜日』。
男の名前は。パチソー。年齢は、五十二歳。独身。勤人。

「冷水浴、節食、十分なる運動を要す。」

医者の診断書には、そのようにあったのです。因みに診察料、五フランだったという。
それで、パチソーが選んだのが、ハイキング。ハイキングに必要なのは、靴。パチソーは、靴を買いに行く。

「軍艦のように鋲で装甲され、その先端が鉄のウマグワのようにさかだっている、一見機械のようなものを示したが…………………。」

結局、パチソーはその「軍艦靴」を買う。靴屋の店員のいうことには。ロッキー山脈の野牛の革で出来ているものらしい。パチソーは、その「軍艦靴」を持って帰る途中、手が痺れてしまったそうですが。
軍艦靴を履いたパチソーは、歩きに歩いているうちに、仙人のような男に出会う。
そのボワヴァンという名の仙人男は、どんな恰好をしているのか。

「白い雲斎織のズボンは、コーヒーの染みがついていたし………………………」。

青柳瑞穂の訳では、「雲斎織」となっています。雲斎織は、英語でいうところの、「ドリル」dr ill であります。コットンの、丈夫な、綾織地。
日本では今も昔も、足袋底に用いられる生地ですね。元禄時代にはすでに「雲斎足袋」があったそうですから、古い。
もし、雲斎織のショート・パンツがあったなら、運動にはぴったりではないでしょうか。

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