蛙は、フロッグのことですよね。
蛙は、飛ぶの上手ということになっています。たぶん、後足をうまく使っての跳躍なのでしょう。
それにしてもふつう蛙は、どのくらいの距離を飛ぶことができるのか。たとえば、5m 5㎝という記録があるんだとか。1960年に。
アメリカ、カリフォルニア州、カラベラス郡に、「フロッグ・タウン」という町があって。毎年、ここでは蛙のジャンプ競技が行われるらしい。一等賞には、1、000ドルの賞金が。1960年には、「ラッキー」という名前の蛙くんが優勝。その距離が5m5㎝だったと伝えられているのですね。
1865年に、アメリカの作家、マーク・トゥエーンが発表した『カラベラス郡の有名な飛びがえる』に因んでの催し。いかにもアメリカらしい発想の競技でもあるでしょう。
フロッグはフランスに行きますと、「グルヌイユ」gr en o u ill e となって、飛躍というより美食の対象であります。
美食の対象となる蛙には二種あって、「グルヌイユ・ヴェルト」と、「グルヌイユ・ルス」。いずれも後足を調理して頂くわけであります。黙って出されますと、鶏肉そっくりの感触。ことにリヨンやアルザスでは郷土料理になっているほどなんだそうです。
イギリス人がなにかフランス人に対して悔しいことがあったなら。そっと胸の内で、「フロッグ・イーター!」と呟いて、溜飲を下げることになっています。
蛙が出てくる小説に、『ちんば蛙』があります。1849年に、エドガー・アラン・ポオが発表した短篇。ただし、本物の蛙ではなくて、ある人物に対する仇名が「ちんば蛙」という設定になっているのですが。
エドガー・アラン・ポオは、1849年10月7日。四十歳で世を去っていますから、最晩年の物語と言って良いでしょう。
エドガー・アラン・ポオが、1840年に書いた短篇に、『実業家』が。『実業家』の主人公は、ピーター・プロフィットという人物で、最後に成功するビジネスマンという物語になっています。
その間にピーターは、「カット・アンド・カムアゲイン」という名前の紳士服店に勤める場面が出てきて。
「………まだ見たこともないほど清潔で美しい小型カラーであり、厚地うね織ラシャ三着の売却に効果があったといっていい。」
エドガー・アラン・ポオは『実業家』の中に、そのように書いています。実はこれはペイパー・カラー。紙で作った、使い捨てのカラーなのです。
少なくとも1830年代のアメリカに、「ペイパー・カラー」があったのは、間違いないでしょう。
どなたか見たこともないほど清潔なカラーのシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。