マンダリンとマリン・キャップ

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マンダリンは、オレンジのひとつですよね。平たく申しますと、みかんの仲間であります。
でも、「マンダリン」はおしゃれ語のひとつでも。m and ar in は、「立襟」のこと。「マンダリン・カラア」。昔の中国の制服にあったところからですね。
みかんには、広く識られている童謡があります。

🎶 みかんの花が 咲いている……………。

そんなふうにはじまる『みかんの花咲く丘』。昭和二十一年に生まれています。加藤省吾の作詞。海沼 實の作曲。
この童謡は、まずはじめに、歌手が決まっていたんだとか。「川田正子」。そしてもうひとつ決まっていたのは、当時としては珍しい、「二次元放送」。
昭和二十一年八月二十五日、午後七時十五分から。東京、内幸町のNHKと、静岡、伊東市の小学校とを結んでのラジオ放送。
そのことを、海沼 實が聞いたのが前日、八月二十四日。
「伊東にふさわしい曲をひとつ……………。」
また、「丘の上から船が見えるような光景の……………。」という注文もあったらしい。
それで、海沼 實は新橋駅から、伊東に。午後三時十二分発の列車に。海沼 實は、列車の中で曲を練り、国府津あたりであらかた出来上がっていたという。
伊東で、加藤省吾に会った海沼 實は、まず温泉に入って、口移しでメロディーを。それを聞いた加藤省吾が、作詞したんだそうです。
今、伊東の亀石峠に『みかんの花咲く丘』の歌碑が建っているのは、そんなわけであるらしい。

「たまにマンダリンが入荷すると、ベティさんは、日本の蜜柑を思い出して、その場で反射的に故里の庭の情景が眼に浮かんだ。」

山本道子著『ベティさんの庭』に、そのように出てきます。「ベティさん」の故里は、四国。それが国際結婚して、オオストラリアへ。
『ベティさんの庭』は、1973年の「芥川賞」を受けています。

マンダリンが出てくる小説に、『秘密』があります。1992年に、フランスの作家、
フィリップ・ソレルスが発表した物語。

「………あるいはレモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツはいずれもこんもりと丸く茂る木で……………。」

また、『秘密』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「………ジュディットは木陰でハンモックに寝そべり、水夫帽で目を隠して……………。」

ここでの「水夫帽」、もしかすれば「マリン・キャップ」でしょうか。水夫のかぶる帽子なので、「マリン・キャップ」。これがキャプテン・キャップともなりますと、金モール、銀モールで鮮やかに彩られるのですが。
どなたかシンプルなマリン・キャップを作って頂けませんでしょうか。

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