ブランデーとプランス・ド・ガル

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ブランデーは、蒸留酒のことですよね。白ワインをさらに蒸留いたしますと、ブランデーになります。
この蒸留器のことを古くは、「アランビック」と呼んだものです。
アランビックが日本語になりますと、「蘭引」。

「………此の物、らんびきを以て薔薇花を蒸して取りたる水なり………」

1763年の古書に、そのような文章があります。これは「薔薇香水」についての説明として。
名酒と香水は、その造りかたにおいて似ているところがあります。
ワインを蒸留すると、ブランデーになるように、大量の花を蒸留いたしますと、そのエキスが少量取れるのです。
フランスでのブランデーは大きく分けて、コニャックとアルマニャックとがあります。
1310年に、フランスのアルマニャック地方で、蒸留酒が誕生との説があるようです。コニャック地方よりもはるかに古い歴史を持っています。
1310年に書かれた医学書の中では、「アクア・アルデンテ」として紹介されています。「燃える水」の意味。これこそ今日のアルマニャックだった、と。
この医学書を書いたのは、「ヴィタル・デュ・フール」という名の修道士だったという。
ヴィタル・デュ・フールによれば、「アクア・アルデンテ」には、42もの効能があると、記されていたそうです。たぶん最初のアルマニャックは、薬として用いられたものと思われます。
ブランデーが出てくるミステリに、『現金に手を出すな』があります。フランスの作家、アルベール・シモナンが、1950年代に発表した物語。題名は「現金」と書いて「げんなま」と、読ませるんだそうですが。

「ピエロは田舎の古いマール・ブランデーをそばに持って来てくれた。」

これは物語の主人公「マックス」の友人の、「ピエロ」が。
ここでの「マール」もまた、ブランデーの一種。イタリアでの「グラッパ」にも似ています。ワインを絞った後のかすを原料として蒸留した強い酒のことです。
また、『現金に手を出すな』を読んでおりますと、こんな描写が出てきます。

「私の青緑色のや、プランス=ド=ガルのや、フィ=ラ=フィルの洋服は、ちんぴらどもを大いに羨ましがらせたものだが………」

ここでの「フィ=ラ=フィル」は、二色遣いのウール地。
また、「プランス=ド=ガル」は、グレンチェックのこと。
これは実際には「英国皇太子」のこと意味するフランス語。その昔、よくフランスを訪問していた英国皇太子が好んで着たスーツの柄だったので。もちろん、後のエドワード七世のことです。
どなたかプランス・ド・ガルのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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